マネジメントを再考してみる 後編<上級マネジメント>

第21回

部下へのフィードバック

落藤 伸夫 2017年9月8日
 
「前回、『結果のフィードバック』として、上級マネジャーが自分自身にフィードバックするというお話をお伺いしました。」

「そうなんだ。結果を部下にフィードバックすることも大切だが、それよりも先に、自分自身のマネジメントに改めるべきところがないかとフィードバックすることが大切なんだ。」

「それを予め教わったところで、いよいよ、部下へのフィードバックを教えてもらえたらと思いまして。」

「そうだな。そうするか。」


<多彩なフィードバック>

「上級マネジャーが、結果を部下にフィードバックする前に、自分自身のマネジメントに改めるべきところがないかとフィードバックすることが大切だと聞くと、ポイントがわかるような気がします。」

「うんうん。」

「自分のマネジメントを振り返ることなく部下にフィードバックしようと思うと、通り一遍のことしかできないですよね。でも、その前に自分のマネジメントにフィードバックしておくと、部下へのフィードバックも多彩にできるという訳です。」

「すごく良い点に気が付いたな。」

「今まで、自分も、フィードバックは部下に対して行うだけのものだと考えていたんです。そうすると、フィードバックのやり方って、決まっていますよね。結果報告と、評価の伝達です。」

「そうなんだ。『ノルマが1,000万円のところ、700万円しか達成できなかった。これでは昇格は無理だな。来年も続くようなら降格も覚悟してもらわなければならない。』そう伝えることがフィードバックだと思い込んでしまう。」

「さすが、三上取締役ですね。私はそこまでドライには言えないと思いますが、実際は、そういうことだと思います。」


自分自身へのフィードバックを経た場合

「それが、自身へのフィードバックを経たら、どうなるんだ。」

「まず、自分の伝え方が良かったのかどうかをチェックしますね。ノルマだけでなく、それを達成したらどうなるか、しなかったらどうなるかをきちんと伝えたかどうかをチェックすると思います。」

「そうだな。ノルマが1,000万円だとして、半期毎、四半期毎の目標を提示したか?グループ毎や個人への具体的な数字に落とし込んだかも、検討できるだろう。」

「それに加えて、付随的なマネジメントを行なったかもチェックできます。」

「グループ内の朝礼で成功体験を共有するアクション・コントロールができるか、見直すことができるかも知れない。」

「仲間同士協力し合えるようチーム編成する、ピープル・コントロールもできるかもしれませんね。」

「そういう検討を、自身へのフィードバックとして行なったら、次は実践だな。部下へのフィードバックに活用することになる。」

「今までは結果と評価を伝えるだけのフィードバックでしたが、意識を変えると、できることはたくさんありますね。」

「そうやって、より効果的なマネジメントができるようになる訳だ。」


<何でもってフィードバックするか>

「とすると、次に問題になるのは、それらのうちをどれを使えば良いのか?それとも全部使うのが良いかということです。」

「いやいや、今、思いついているマネジメント以外にも、できることがあるかもしれないぞ。それも検討しなければならないかもしれない。」

「おっしゃる通りです。で、何を使えば良いのですか?それとも、全部ですか?」

「もう、答えは出ていると思うぞ。」

「えっ、そうですか?うーん。何だろう?」

「そうか。これは現場マネジャーのマネジメントについて話した時のことなので、中川部長は忘れてしまったか?」

「5年前のことですか?『それでも覚えておけ』という三上取締役の気持ちも分かりますが、『いくらなんでも5年前のことは』という私の気持ちもご理解くださいよ。」

「わかった、わかった。部下に対するフィードバックは、パフォーマンスや評価を伝えることに加えて、アクション・コントロール、リザルト・コントロールそしてピープル・コントロールという方法で実施することができる。」

「はい。先ほど、そのようにお伺いしましたね。」

「アクション、リザルトそしてピープルの各コントロールをどのように使い分けていけば良いかといえば、各コントロールが得意とする効果を期待して選択したり、実際に成果があがるかどうかで判断することができる。」

「そうか。組織の性格や目的、経営戦略等に適ったコントロールを選択したりするというお話も、お聞きしましたね。」

「そうだ。一方で、複数のコントロールを組み合わせて使うこともできる。」

「複数のコントロールを使うことにより、品質を向上させながら生産個数を増やすなど、矛盾する目標も達成できる場合もあると、お聞きしました。」

「そうだったな。さて、そういう効果を目指してフィードバックを行うのだが、どうやって最適なマネジメント法を選択すれば良いのだろう?どうやって判断する?」

「あれ、私の三上取締役への質問が、私に向けられましたね。」

「でも、そろそろ自分で答えが出せるだろう。」

「ええ、そういう気がしてきました。ここも、自分にフィードバックして判断すれば良いのですね。」

「そうだ。部下へのフィードバックとして何を行うべきかを判断するためには、行なったマネジメントによる成果を見て、それを自分にフィードバックして決めるしかない。」

「そうですか。結局は、そこに行き着くんですね。」

「そうだよ。自分のマネジメントを改善するために自分に向かってフィードバックすることは、上級マネジャーにとって最も大切な仕事だと言っても、過言ではないんだ。」

「分かりました。」

 
 
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プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

昨年まで、現場マネジャーが行うマネジメントについて、世界標準のマネジメント理論である「MCS(マネジメント・コントロール・システム)論」をベースに考えてきました。日本では「マネジメント」について省みることがほとんどないようですが、世界では「マネジメントとはこういうものだ」という姿がきちんと描かれていて、それを学ぶように促されています。日本のホワイトカラーの生産性が低迷している原因は、もしかしたら、このあたりにあるのかもしれません。

昨年度は約1年かけて、現場マネジャーのマネジメントについて考えてきました。現場マネジャーは、現場で働く人たちが高いパフォーマンスをあげられるよう促すマネジメントを行なっています。一方で現場マネジャーも、マネジメントを受けます。現場マネジャーが行うマネジメントが現場の力をあますところなく引き出しているか、企業として目指す方針や戦略を実現できるよう導いているかという観点でのマネジメントを必要としているのです。

今年度は、連続コラム「マネジメントを再考してみる」の後編として、上級マネジメント(上級マネジャーの行うマネジメント)についてMCS論をベースに考えます。上級マネジャーがどんな役割を担っているか、それをどのように果たしていくかについて、体系的にご説明します。 企業パフォーマンスを向上させる世界標準のマネジメントに関する解説は、日本初の試みです。是非、お楽しみください。

コラム マネジメントを再考してみる 後編<上級マネジメント>

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