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マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第8回

マネジメント・コントロール・システム(MCS)とは

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 
「さて、エコシステムについて分かったところで、マネジメントに立ち戻ってみようか。マネジメントをシステム化するとは、どうすることだと思う?」

「担当者とその役割を明確にすると共に、コントロールの仕組みを作ることですね。」

「そうだ。」

「やっと、意味がわかりましたよ。わが社に新しいマネジメントを取り込もうとするに当たっては、部分部分を取り込んでいくやり方はお勧めできない、三拍子揃った形で再形成しなければならないということですね。」

「そうなんだ。新たなマネジメントが何を目指すか、目的が分かっただけではダメだ。『マネジャーは、これから、現場の作業者がよりよい仕事ができるように支援することとする』なんてことを決めたとしても、十分ではない。誰がどういうマネジメントをするかを明確に示して、それがうまく機能するような仕組みを作る。そういうシステム化が必要なんだよ。」

「分かったような気がします。」


マネジメント・コントロール・システム(MCS)

「では、こういうシステムのことを何と言うのだろう?」

「おっと、いきなりですか?」

「確かにいきなりだが、推測できない訳でもないだろう。マネジメントをうまく機能させるため、担当者とその役割を明確にした上で、コントロールの機能も持ったシステムだ。そういう仕組みのことを、何と言うと思う?」

「今でてきた言葉を繋げると、マネジメント・コントロール・システムですか?」

「そうだ。」

「当てずっぽうで言ったのが、当たっていたんですね。」

「まあ、ここまで誘導されたら、誰でも分かるだろうがな。」

「相変わらず、手厳しいですね。」


日本ではまだ浸透していないMCS

「でも私、マネジメントについてはそれなりに勉強してきたつもりですが、どこの教科書にも、そんなことは書いていなかったですよ。」

「たぶん、そう言うのではないかと思っていた。俺が今、説明していることは、マネジメント・コントロール・システム(MCS)論という、日本ではあまり教えられていない学問に基づいているんだ。」

「なぜ、日本には入ってきていないんですか?」

「俺にも分からない。しかし欧米のMBAコースでは教えられている学問だ。」

「欧米は、頭でっかちなんですね。」

「そういう解釈もあるよな。俺も、そう感じるときもあるが、マネジメントについてはもう少し、学びを大切にしても良いかなと思っている。」

「どうして、そう思われるのですか?」

「状況をみて、そう感じたんだ。」

「どんな?」


MCSがホワイトカラーの生産性を高めている?

「ホワイトカラーの生産性は、先進国で日本が最低と言われているだろう。マネジメント教育が行き届いている欧米の方が高いんだ。」

「ホワイトカラーの生産性が欧米で高い理由が、マネジメント教育にあると言われる訳ですね。」

「もちろん、それだけが理由だとは思わないけれどな。でも、マネジメントとはどういうものか体系的に考えて、それを取り込んでいく方が効果的だと思わないか?」

「ふむ、確かに。」

「一方、日本ではマネジメントとは何か、しっかりとした理解がないような気がする。」

「それは確かに!私、今回の仕事に取り掛かる前に、現場マネジメントに関する本を片っ端から読んだんです。つまり課長本と言われているものですが。」

「どうだった?」

「みんな言っていることがバラバラなんで、びっくりしました。」

「確かにな。切り口がいろいろあって、バラエティに富んでいただろう。」

「本当にそうなんです。その理由が、やっと分かったような気がします。日本には、マネジメントとは何かについて体系的な理論がないのですね。」

「そうなんだ。それが、日本のホワイトカラーの生産性が低い理由だと思わないか?」

「確証はないですが、そういう推論も成り立ちそうですね。」

「一方で欧米ではマネジメントについての体系的理論がある。そういうマネジメントを専門職が行っていくと認識されている。そして結果として、日本よりも高いパフォーマンスをあげている。日本が、それを取り入れない理由はないと思わないか?」

「確かに、害にならないのなら、取り入れても良いでしょうね。でも、欧米の経営理論には、副作用が大きかったものも、結構多かったですよ。」

「確かにそうだ。だからMCSが我が社に適するかどうか、しっかりと検討してくれ。これから説明するから。」

「それは重大な役割ですね。心して、検討させてもらいますよ。」

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。


Webサイト:StrateCutions

マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

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