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マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第37回

現場マネジャーのマネジメント方法(全体像)(前編)

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 
「これまで現場マネジャーの役割について、お話し頂きました。もとから知っていた役割もありましたが、初めてお聞きした役割もあります。とても有意義なものでした。」

「そう言ってもらって、嬉しいよ。」

「でも、一つ疑問が生まれたんです。」

「どんな?」

「これまで私、現場マネジャーについて膨大な『役割』を聞いてきましたが、それを『どうやって果たすか』については、あまり知りません。そうなると、ストレスが溜まるばかりなんです。」

「いいところに気が付いたではないか。俺は、マネジメントがうまくいかない理由をいろいろ考えてみたんだが、その一つに『役割を与えられても、それを果たす方法が分からない』ことが挙げられると思う。それを言い当てたんだから。」

「褒めてもらって、喜んで良いのかどうか、分かりません。役割が分かってもやり方が分からない、そういうモヤモヤとした状態だからです。」

「確かに、そういう心境かもな。」

「そうなんです。これについて、何かアドバイスはないでしょうか?」

「もちろんあるとも。MCSのもう一本の柱は『現場マネジャーが使えるHow to』なのだから。」
「それは楽しみですね。よろしくお願いします。」


現場マネジャーの3つのツール

「MCSでは、現場マネジャーが使える3つの汎用的なツールが与えられている。」

「3つですか?意外と、少ないですね。」

「じゃあ、言い換えよう。MCSでは、現場マネジャーが行うマネジメントを3つに分類している。現場マネジャーが行うマネジメントは、この3つのいずれかに分類されると言っても過言ではない。そう言えばどうかな?」

「なるほど。そんなにもシンプルにまとめられるのですね。了解しました。是非、教えてください。」

「わかっているよ。そう、急かすな。」


アクション・コントロール

「最初のツールは、アクション・コントロールというものだ。」

「アクション・コントロール?何か、ゲームのコントローラーみたいな名前ですね。」

「そういう感じも、しないわけではないがな。でも、アクション・コントロールは、近代マネジメントの最も基本的な形なんだ。」

「ちょっと久々にお聞きしましたね、近代マネジメントという言葉。確か、テーラーでしたっけ?」

「そうなんだ。テーラーは流れ作業で有名になったが、俺はもう一つ『パフォーマンスの上がる方法を会社側が考案して、それを働き手に実施させる』というマネジメント方法を生み出したことの意義が大きいと思っている。」

「働き手にどのように動作すべきか、つまりアクションを指示したのでアクション・コントロールなのですね。」

「そういうことだ。」


リザルト・コントロール

「次のツールは、リザルト・コントロールだ。」

「リザルト・コントロールですって。こちらは全然、聞いたことがないですね。」

「リザルトとは成果のことだ。それを示してコントロールする。そう言われると、思いつくことはないか?」

「あります、あります。ノルマのことですね。」

「そうだ。リザルトコントロールとは、今では一般的に、ノルマを課し、その成果でもって評価することによって行われる。」

「非人間的なマネジメントが横行してきた訳ですね。」

「実際は、そのような側面は否めないが、実際は人間的な配慮から生まれてきたのだと、俺は思うな。」

「人間的配慮ですって!」

「人間って、やるべきことをいちいち命令されてばかりいると、嫌になってしまうだろう。自分自身の創意工夫とか、自発性を発揮したくなるんだ。」

「確かにそうです。そうか。期待する結果は示すけれど、それを行う方法などは自発性を発揮して自分で工夫してくれというメッセージな訳ですね。」

「そういうことだ。」

「本来の使われ方をすれば、ノルマ制もこんなにも嫌われることはなかっただろうにと思いますよ。」

「ああ、そうかもな。」


ピープル・コントロール

「そして最後はピープル・コントロールだ。」

「ピープル・コントロールですって?人をコントロールする訳ですね。これこそ、前近代的なマネジメント方法なのではないですか?」

「いや、そうでもないんだ。どころか、最近のコントロールはだんだんとピープル・コントロールにシフトしていっている。」

「何ですって?人をコントロールしようという試みが主流になっているとは。ブラックな企業が増えたという意味ですか?」

「そういう意味でもない。ピープルコントロールというのは、人の性質、『人とは、こんな時にはこんなふうに感じ、考え、行動するものだ』という考察に基づいたコントロールなんだ。」

「なにやら変な雲行きですね。」

「いやいや。例えばメンバーが積極的に協力しなければ成果を出せないような仕事をしている場合、メンバーに個室を与えた方が良いと思うか?それとも大部屋で一緒にした方が良い?」

「それは、大部屋で一緒にした方が良いでしょうね。その方が、一体感が高まります。」

「そうなんだ。人の性質を利用しながらコントロールしていく。それがピープル・コントロールなんだ。」

「そう言われて、安心しました。」

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。


Webサイト:StrateCutions

マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

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