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マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

第11回

マネジメント・コントロールを行うシステム

StrateCutions (ストラテキューションズ)グループ  落藤 伸夫

 
「前回、マネジメントをコントロールする意味について、教えてもらいました。今度は、そのシステムという意味を教えてもらって良いですか?」

「システムについては、もう教えたではないか。」

「そうです。担当者と役割の明確化と、うまくいかなかった場合の措置ができる仕組みでしたよね。でも、そういう抽象的な言い方では、実際は良く分からないですよ。」

「まあ、確かにそうだな。」

「だからご説明を、お願いします。」


マネジメントのコントロールが確実にされる仕組み

「ちなみに、マネジメントのコントロールという意味は、覚えているか?」

「覚えています。『期待する成果を得るために、マネジメントの方法を変えていく』ということでしたよね。私の例で、説明してくれました。」

「そうだ。その例で中川課長は、期待する成果を得るためにいろいろと頑張ったけれど、全ての現場マネジャーがそうするだろうか?」

「三上部長に『私は頑張った』なんて言われると、こそばゆいような感じですね。あとで揚げ足を取られそうな気がします。」

「そういう心配は、ここでは必要ない。あるマネジャーは自分の役割をきちんと果たそうとしているが、別のマネジャーはどうも足りないようだ。そういうことがあったら、どうする?」

「そのマネジャーの、より上の階層にあるマネジャーが、きちんと成果を出すように仕向けるのでしょうね。」

「例えば?」

「最初は『どうした?最近君のグループは凡ミスが多いようだけど』とやんわり警告すると思います。」

「それでもダメだったら?」

「君のグループのミスは、君の減点要因だぞと言うのでしょうか?」

「それでもダメだったら?」

「管理職会議で叱るかもしれません。」

「これって、何だ?」

「何かって?あ、そうか、これは上司がやるマネジメント・コントロールなんですね。」


マネジメントの階層化により、MCをシステム化する

「そうなんだ。現場マネジャーには現場のマネジメントを行うという役割を与え、フィードバックして改善してもらう。そこに、より上位階層にあるマネジャーを関与させ、配下マネジャーが上手くマネジメントできなかった場合には、上位階層にあるマネジャーがフィードバックして配下マネジャーのマネジメントを改善させていく。それを行う仕組みがマネジメント・コントロール・システムなんだ。」

「現場マネジャーがきちんとマネジメント・コントロールしているかどうかを上位のマネジャーがチェックして、不足などがあればマネジメントしていく。マネジメント・コントロール・システムとはそういう仕組みだということですね。分かりました。」


オペレーション・マネジメントのコントロールと戦略マネジメントのコントロール

「ちなみにマネジメント・コントロール・システムには、それ以上の意味合いもある。」

「どのようなことですか?」

「さっき例に出したのは、決められた手順の遵守というオペレーション・マネジメントに関するコントロールだった。」

「はい。」

「しかし、マネジメントには戦略のマネジメントというものも存在する。」

「言葉としては分かりますが、この文脈での意味がちょっと。」


戦略実現の評価者によりMCを実現するシステム

「例えば、以前にわが社では『顧客満足度向上キャンペーン』をやったよな。」

「覚えています。あれは散々でしたよね。計画段階では現場の意見を聞いてもらっていましたが、いざ実行段階ではダメ出しが多くて。」

「覚えていたか。」

「覚えていたも何も、ないですよ。ある雑誌の顧客満足度調査でひどい評価だったので、次回は大幅に挽回しようとキャンペーンを行うことになりました。トップからの戦略計画をもとに現場が実行計画を立てて承認してもらい、その通りしっかり実行したのに、中間レビューでは散々な評価でした。」

「上層部としては、当時の進捗では不安があったのだろうな。」

「でも私は、あのままでも目標は達成できたと思いますよ。目指す順位までは達成できなかったとしても、大幅に改善できたのは確かです。」

「それを上層部は、是が非でも目指す順位に到達したかったんだろう。」

「確かに、あの順位にまで上がっていなかったら『その他大勢』ということになっていたかもしれませんね。」


「そうだ。戦略を策定するとともに、結果を見て評価するのはトップだ。でも、結果を出すための行動は現場が行っている。」

「そうです。」

「そして、現場が目指す成果を出すかどうかは、現場のマネジメントにかかっている。」

「確かにそうです。」


「なので上位マネジャーとしては、現場マネジャーのマネジメントで経営戦略が実現できるかどうか、見極めなければならない。」

「ふーむ。」

「現場マネジャーが今、行っているマネジメントでは経営戦略が実現できないと思ったら、現場マネジメントを改善するように、上位マネジャーが働きかけるという訳だ。」

「そういうマネジメント・コントロールを行う訳ですね。」

「そうだ。上位のマネジャーは、下位のマネジメント・コントロールでもって経営戦略を実現させるためのマネジメント・コントロールも行っている。それが、マネジメントの階層化によって実現するマネジメント・コントロール・システムのもう一つの、重要な役割なんだ。」

 

プロフィール

StrateCutions
代表 落藤 伸夫

「世界の先進国では日本だけが一人負け」という話を聞くことがあります。世界が日本を羨んだ “Japan as No.1” からまだ40年ほどしか経っていないのに、当時、途上国といわれていた幾つかの国々の後塵を拝している現状です。

それを打開する方法の一つに、マネジメントを高度化していくことがあると思われます。日本のホワイトカラーの生産性は先進国では最低だといわれていますが、逆に言えば、マネジメントを改善すれば成果を飛躍的に伸ばすことができる可能性があります。

筆者は Bond-BBT MBA でMCS(マネジメント・コントロール・システム)論を学んで以来、マネジメントでもって企業の業績をあげる方法について研究してきました。マネジメントを合理的に考え直し、システムとして組み直すのです。StrateCutionsで行うマネジメント支援の理論的背景や方法論を、お知り頂ければと考えています。


Webサイト:StrateCutions

マネジメントを再考してみる 前編<現場マネジメント>

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