知恵の経営

第92回

企業変革の8段階プロセス

アタックスグループ 2016年11月9日
 
 2人の若手企業家、freeeの佐々木大輔社長とユーザベースの梅田優祐社長と話す機会があった。佐々木社長が手掛ける事業はAI(人工知能)を利用したクラウド会計サービスだ。一時期、ベンチャー企業の財務担当役員(CFO)をしていたが経理の素人で大変苦労した。苦労した会計業務をAI、クラウドで誰でも簡単に処理できるサービスを構築し起業した。今では60万社が利用中で、銀行との提携も進み、急成長を遂げている。

 ユーザベースの梅田社長が始めた事業は法人向けの経済・金融情報サービスだ。UBS証券などでコンサルタントとして働いているとき、分析リポートの情報収集に苦労した。情報収集サービスをウェブ上で提供すれば事業会社、金融機関、証券会社、コンサルティングファームなどで役立つと考えた。9月に東証マザーズに上場した。

 経営学者のドラッカーは「事業の目的について、正しい定義は顧客を創造することである」そして「顧客を創造するためにいかなる事業も2つの基本的機能・マーケティングとイノベーションを持つ」と言った。マーケティングは顧客の要求を探り出す事業全体に関わる重要な戦略的活動で「新製品や新サービスの開発のスタートラインはマーケティングだ」と断言した。

 筆者は、マーケティングは社会的、経済的問題を探り、解決策を見つけ出す行為と考える。世の中に存在する「不」、つまり不便・不満・不安の解消を提供できる商品やサービスを考え出す。この場合(1)顧客は誰か(2)顧客が認める価値は何か(3)どの程度の値段を喜ぶか(4)いつ、どこで、どういう方法でそれを求めるか-を考えることだ。
 一方、イノベーションはより経済的に商品やサービスを提供する方法を考え出すことだ。イノベーションが「経済発展の原動力である」と言った経済学者のシュンペーターは、イノベーションを(1)新商品の導入(2)新しい技術・生産方法の導入(3)新市場の開拓(4)新原料の導入(5)新しい経営組織の実現-と定義した。

 2人の若い起業家の動機は仕事上の不便の解消・解決策の提案だった。困りごとを解消するサービスがあれば多くの人の「お役立ち」ができると考えた。

 宅配便市場を創出したクロネコヤマトの創業者、小倉昌男氏と同じ発想。そして2人の起業家ともにインターネット、クラウドという新しい技術・インフラを積極的に取り入れた。

 経済のグルーバル化、インターネットの普及、少子高齢化、持続的地球環境への関心の高まりといった時代のトレンド・環境変化を好機と捉え、マーケティングとイノベーション活動を行い、顧客創造・事業変革のビジョンも示しリーダーシップをとることは経営者の重要な役割の一つだ。危機意識を持つ経営者には、ハーバード大学の教授だったジョン・コッターが提唱した「企業変革の8段階プロセス」を薦めたい。
<執筆>
アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
2016年11月9日フジサンケイビジネスアイ掲載





 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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