知恵の経営

第40回

事業環境活用し市場を要塞化

アタックスグループ 2015年10月14日
 

 独自の「池(市場)」の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中小企業を紹介している。13回目は21期連続黒字のレーザー機器専門商社、日本レーザー(JLC、東京都新宿区)を取り上げる。

 世界中から最先端の製品・システムを輸入し、顧客が抱える問題を解決。光関連機器に特化し、産業と理科学という2分野の購買代理店市場を築いた。

 親会社だった日本電子のレーザー関連事業を支えるため、1968年に設立。二十数年間、社長は天下りで、社員は不信感を募らせ、業績は低迷、債務超過に追い込まれた。

 再生のために送り込まれた近藤宣之社長は、親会社の取締役を辞した。失敗すれば全てを失い自己破産となるリスクを背負い、経営陣による自社買収(MBO)を実施。持ち株比率は、MBO前の親会社70%、役員30%(うち近藤氏は10%)から、役員53.1%(同14.9%)、社員32%、日本電子14.9%(2014年時点)と「社員の社員による社員のための会社」を作り上げた。

 国内のレーザー販売代理店は大半が営業マン1人。こうした中、代理店の組織化に成功し、従業員58人(15年1月時点)で業界最大規模となった。一つの代理店では対応しきれないニーズに、輸入機器をカスタマイズすることで代理店の機能をアップして応え、14年度の売上高は38億円と社長就任時の4倍に引き上げた。

 主力商品であるハイ・エンドなレーザー装置は、日本の大企業には市場規模が小さ過ぎて採算が合わない。欧米では博士号クラスの技術者が会社を簡単に設立するが、日本ではベンチャーが育たない。一方で欧米企業には言葉の壁があり代理店は不可欠だ。JLCの「池」は強固な要塞と化している。

 近藤氏は、社員のモチベーションが何よりも大きな経営の勝敗決定要因だと理解し、社員力を高める努力を惜しまない。TOEICの点数に応じたインセンティブ制度のほか、高い提案力には営業・技術系を対象に成果主義的な賞与制度もある。ダイバーシティ(多様性)経営を実践し、女性採用にも積極的だ。JLCの社員満足度は非常に高く、過去10年間転職を理由とした離職者はいない。なぜ好業績を継続し、無借金経営を実現したかがよく分かる。“池クジラ”の面目躍如である。

<執筆>

アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明

2015年10月14日「フジサンケイビジネスアイ」掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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