知恵の経営

第23回

提案型ホスピタリティー業

アタックスグループ 2015年6月10日
 

 独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得している中小企業を紹介している。10回目の今回は、住宅という人生最大の買い物で最高の感動を演出する、都田建設(浜松市北区)の蓬台浩明社長が創った“池クジラぶり”を見ていきたい。

 同社は社員約60人を抱える木造注文住宅建設会社であり、年間100棟を超える新築住宅を施工する。2014年2月期は年商28億6000万円で、14期連続の増収増益を達成。売上高経常利益率はおおむね8~9%。ほぼ、無借金経営を実現している。

 まず同社は「池」をどう定義しているかだが、住宅引き渡し後の顧客との関係性を重視する見地から「119対応」と呼ぶ、アフターサービスに1時間19分以内で駆けつけられるよう、施工エリアを静岡県西部と愛知県東部に限定している。

 次に顧客に同社が提供する価値である。

 1つは、住宅それ自体が最大の提供価値だ。顧客は人生最大の買い物であり宝物であるマイホームには大変なこだわりがある。蓬台社長は「工事を担う社員たちには気配りあふれる丁寧さを持って仕事をしてほしい」と願い、こうした社員の心を育てることに最大の労力を割く。工事現場を全面禁煙化しているのも、その一環だ。

 2つ目は経営目標に「お客さまの感動の涙、年間100回」を掲げ、これを全社員が真剣に追求していることだ。例えば、上棟式を迎えるにあたり施主の奥さんから「感謝の手紙」を施主に書いてもらう。また、施工後、夢のマイホームが完成に至るまでのストーリー動画を社員が訪問して渡す。このように社員たちは顧客に対するさまざまなサプライズを提供する。

 3つ目は、1時間19分以内に駆けつけるアフターサービス「119対応」である。

 この3つの提供価値は、社員たちに、顧客に尽くす心と信頼する仲間と協力し合う一体感が醸成されていないと生まれない。住宅建設は社員一人一人が心を込める共同作業だからだ。

 蓬台社長は社員の心を育てるため、昼休みに「BBQフィロソフィー」と呼ばれるバーベキュー大会を全社員参加型の恒例イベントとして実施している。

 単なる住宅販売業ではなく、「ライフスタイルを提案するホスピタリティー業」でありたいという思いが極めて強い蓬台社長は、営業マンを置かず、ショールームやモデルハウスも持たない方針を貫いている。

 営業はすべて「口コミ」と、定期的なセミナー、見学会、ブログの更新などにしか頼っていない。それでも同社は1年分の受注残を抱えている。

 このように同社は地元において「住まいを核とするライフスタイル提案型ホスピタリティー業」という「池」を築き、その「クジラ」となっている。

<執筆>

アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明

2015年6月10日「フジサンケイビジネスアイ」掲載

 
 

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

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