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知恵の経営

筆者:アタックスグループ(税理士法人、経営コンサルティング)  執筆

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開しているアタックスグループが連載するコラムです。

  • 第287回  「知恵の経営」とは何か 今こそ自律型人材の育成を 

    本紙において、2011年から4人の筆者のリレー形式による読者の経営の役に立つ、参考になる情報を提供し続けてきた。この原稿をもって、本連載は終了となるので、最後にテーマとなっていた「知恵の経営」とは何かを振り返ってみたいと思う。

  • 第286回  能力主義は正しくない

    先般、著名な米ハーバード大学の哲学者マイケル・サンデル教授の新刊『実力も運のうち 能力主義は正義か?』が早川書房から出版された。名著であり、多くの人々に一読を薦めたい。

  • 第285回  「健康食品業界の改革」や「無添加基礎化粧品の開発」も 「不」の解消に取り組む

    今回は、第11回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で厚生労働大臣賞を受賞した横浜市にある化粧品・健康食品の研究開発、製造および販売などを行うファンケルを取り上げる。同社は1980年、池森賢二氏によって化粧品の通信販売業として創業された。「正義感を持って世の中の『不』を解消しよう」を理念に掲げ、一貫して社会課題の解決に取り組んできた、無添加化粧品やサプリメントのパイオニアだ。

  • 第284回  新型コロナをどう乗り越えるか、長寿企業に関する研究で考える

    石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが自社の長期的繁栄を図るため、1980年代に長寿企業に関する研究を行っている。この研究によると危機を乗り越え繁栄を続ける長寿企業には4つの共通要因があった。

  • 第283回  第12回「いちばん大切にしたい会社」大賞の募集が7月からスタート

    本コーナーで何回も紹介させていただいた、筆者が審査委員長を務める「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞は、2010年度に、産官学関係者により創設されスタートした。以後、毎年、少ない年で10社、多い年は30社近い企業を表彰している。

  • 第282回  設備工事からサービス業へ

    今回は、第11回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞(3月実施)で中小企業庁長官賞を受賞した島根県松江市にある電気設備工事、通信設備工事、給排水衛生設備工事、空調設備工事などを行う島根電工を取り上げる。

  • 第281回  「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で考える、自分の会社の立ち位置

    筆者が事務局次長を務める人を大切にする経営学会が主催する「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の受賞企業を3月に発表した。新型コロナウイルス禍にもかかわらず、138件と過去最多の応募があった。そこから第1次審査を通過した企業52件への現地ヒアリング審査を行い、その結果をもとにした第3次審査を経て、過去最多の28件が表彰された。

  • 第280回  社内外に企業理念の効果、和歌山県白浜町アドベンチャーワールドの経営

    第11回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で審査委員会特別賞を受賞した和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドの経営を行う、大阪府松原市のアワーズを取り上げる。

  • 第279回  全員参加でコロナ乗り切る、トヨタ自動車の現場力の強さ

    コロナ禍で売り上げが溶けるように減少し、資金繰り対策に頭を悩ませている経営者は多い。こんな状況下で上場会社の3月期決算予測が発表され始めている。多くの会社が減収収益となっているが筆者がさすがだなと思うのはトヨタ自動車である。

  • 第278回  困り事に特化、信頼獲得でモチベーションもアップ

    今回は、静岡県三島市で、関東一円にある20カ所の営業所を通して、毎月約1000棟の工事を受注する総合外装事業とアジア人材育成&活用事業を行う南富士を取り上げる。

  • 第277回  中小企業の社長の報酬は、誰にも後ろ指をさされないように

    企業の圧倒的多数派である中小企業の社長の報酬は、1800万円から2000万円という調査結果もあるが、ある会計事務所が毎年発刊している資料を見ると、総平均は1000万円であった。もとより上は5000万円から、下は450万円まで、大きくばらついてはいるが、回答企業約1300社の中で最も多かったのは550万円(全体の25%)、以下1200万円(全体の12%)、そして700万円(全体の10%)などであった。

  • 第276回  透明性あるトップ選任とは

    女性蔑視と受け取れる発言で東京五輪・オリンピック組織委員会の会長を辞任した森喜朗氏の後任に、五輪相だった橋本聖子氏が就任した。森氏は発言内容について、解釈の仕方、意図的な報道があったと話したが、擁護するのはさすがに難しかったと言わざるを得ない。

  • 第275回  働きがいある会社づくりを

    突然やってきた新型コロナウイルス禍がもたらした大きな環境変化の一つはテレワークの普及だろう。現在は第4次産業革命の時代であり企業経営をDX(デジタルトランスフォーメーション)によって変革しないと将来がないといわれていたが、現実はDXが進んでいなかった。新型コロナは企業のDXを一気に進めるきっかけを作り、その代表例がテレワークの普及ではないかと考える。

  • 第274回  古民家を改築 100年運用目指す鎌倉投信

    大多数の投資運用会社が東京に集中している中で、あえて神奈川県鎌倉市で築100年を超す古民家を改築し、これからの日本に必要とされる会社に投資を行う、鎌倉投信を取り上げる。

  • 第273回  勝者は存在するのであろうか、過度な競争を見直してみる

    これまで、企業・個人の間での激しすぎる競争が繰り広げられてきた。競争が起こることは、企業・人が成長・発展していくためには必要なことは間違いない。自分の良いライバル・目標を見つけ、そこに追い付け追い越せと切磋琢磨(せっさたくま)することで、自分にも周りにもより良い状況がつくられていく。

  • 第272回  ウィズコロナ時代の生き方

    このおよそ50年間、日本経済は幾度となく、未曽有の危機に直面してきた。何れも日本経済の根幹を揺るがす歴史的衝撃だったが、偉大な先人たちは、英知と努力を結集し、長短はあったとはいえ、いずれの危機も何とか乗り越えてきた。

  • 第271回  経営にぬくもり・温かみ

    今回は、第10回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で、審査委員会特別賞を受賞した静岡県浜松市で、蜂蜜を製造・販売する長坂養蜂場を取り上げる。同社は、長坂善人社長の祖父で創業者の喜平氏が、1935年に自身の体質の弱さを蜂蜜の栄養によって回復したことをきっかけに、他の人たちの健康も願って創業した。

  • 第270回  テレワークでみえた課題 管理職と一般社員の関係に微妙な変化

    新型コロナウイルス感染拡大の影響で、テレワーク・在宅勤務の機会が多くなった。現在では、少しずつ通常出社に戻る企業・社員も出始めているが、全国的な感染者数再拡大もあって、今後も完全回復は難しいだろう。

  • 第269回  社員のモチベ低下の理由は、企業経営の真の目的に気付け

    今から20年前の2000年における日本の国内総生産(GDP)は、米ドル換算で4.9兆ドルと米国に次ぎ、世界2位の経済力を誇っていた。しかしながら、18年のそれは5.0兆ドルと増加率では僅か2%に過ぎなかった。

  • 第268回  成功するまでやり続ける Chatworkの苦難と成功までの歴史

    今回は、10月27日付の本欄で紹介したChatwork(チャットワーク)の苦難と成功までの歴史を見ていきたい。

  • 第267回  値段やパッケージが変わらないままこっそり…“便乗値上げ”で信頼を失う

    10月1日から、たばこ税増税などに伴い、たばこのメーカー・銘柄にもよるが、1箱当たり20~50円の値上がりとなった。筆者は喫煙者ではないため影響はないが、愛煙家にとってはますます厳しい状況が続くことになる。この種の値上げは、同日に酒税法改正により、第3のビール(原料に麦芽を使っていないもの、発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜたもの)が値上がりとなったアルコールも同様だ。これら商品は、税法との関係もあり、値上がり・値下がりしたことは一目瞭然となる。

  • 第266回  郷土食の「南部せんべい」を全国的にヒットさせる 常識を覆して生まれた新風

    今回は、もともと郷土食であった南部せんべいをお土産菓子にし、全国的に大ヒットさせたことで知られる小松製菓(岩手県二戸市)を取り上げる。同社は、1948年4月、小松シキ氏が21丁の焼き型から始めた南部せんべい屋が始まりである。

  • 第265回  コロナ禍で「借りる・共用」時代に加速

    新型コロナウイルス感染拡大以前から変わりつつあったことではあるが、モノに対する所有の考え方に変化が出始めているように思う。例えば、若者の車離れといわれるように、代替交通手段が発達したという理由はあるが、自家用車の所有へのこだわりが、それ以前と比べ低くなっているように感じる。

  • 第264回  その事業のコンセプトは明確か

    筆者は毎年、起業後上場(IPO)した若手経営者との対談セミナーを行っている。起業から上場に至るまで苦労したことは何か、現在手掛けるビジネスの発想、着眼点はどこから生まれたのか、今後の経営課題と成長のためのビジネス構想をどう見通しているのかといった内容を企業家から聞いている。

  • 第263回  有事が起きることを前提に…ポストコロナ時代の経営学

    企業経営で最も大切かつ重要なこととは、(1)社員とその家族(2)社外社員とその家族(3)現在顧客と未来顧客(4)地域住民、とりわけ障害者や高齢者など社会的弱者(5)出資者ならびに関係機関-など「5人」の命と生活を守ることであり、また彼ら彼女らが、組織に所属する喜びや安心を実感するような経営をすることである。

  • 第262回  組織知・人間力を若手に継承

    今回は、大阪市の中堅ゼネコン、三和建設を取り上げる。同社は「人を大切にする経営学会」(会長・坂本光司法大大学院教授)が主催する「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で審査委員会特別賞を受賞したこともある。1947年に鹿島組(現鹿島建設)の常務だった森本多三郎氏が創業した。2008年、4代目社長に就任した森本尚孝社長は、「何でもできるというのは、何もできないのと一緒」と考え、「ファクトリー(工場)に価値を足す」という意味をこめ、食品工場に関わるトータルソリューションという事業ブランド「FACTAS(R)」を構築した。

  • 第261回  オンライン打ち合わせには「段取り力」が必要に

    新型コロナウイルスの感染拡大により、ビジネスにおいても、これまでの常識が大きく変わり始めている。特に企業の在宅勤務や出張自粛などの影響によるオンラインでの営業活動や打ち合わせが多くなっているように感じる。

  • 第260回  調湿木炭で広がる快適空間

    今回は、2007年第2回ニッポン新事業創出大賞アントレプレナー部門で優秀賞を受賞した、で、調湿木炭「炭八」の製造販売を行う出雲カーボン(島根県出雲市)の取り組みを紹介する。

  • 第259回  ビジネスにおける「キラーパス」は何かを考える

    『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社)の書籍を参考に、戦略ストーリーには、事業コンセプトに続いて、戦略ストーリーの優劣を決める「クリティカル・コア」が重要であるということを伝えたい。(アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭)

  • 第258回  退き方を常に頭の中に 起こりうる“最悪のケース”

    8月28日に、安倍晋三首相が自身の持病再発による体調不安を理由に辞意を表明した。連続の在任期間が2799日と歴代最長となるなど、7年8カ月の長期に渡った。ただ、正直に言えば、他に代わる人材がいなかったのかもしれないが、7年8カ月の期間は長すぎるように思う。

  • 第257回  コロナ禍、変わりゆく「おもてなし」を今一度考える

    新型コロナウイルス感染拡大の収束が見えない中で始まったことで、賛否はあるものの、7月22日に政府が推奨する「Go To トラベル」キャンペーンが始まり、県またぎの移動が促進されるようになった。ただ、やはり多くの方が、今回はお盆の帰省や夏季休暇中の旅行に不安を感じ、控えるという考えが多いように思う。(アタックス研究員・坂本洋介)

  • 第256回  存続するためにやむを得ないと言いながら… 「リストラ相談お断り」

    業績が低下したり、赤字経営が余儀なくされたりすると、希望退職者を募集したり、協力企業に大幅なコストダウンなどを強いたりする企業が少なからず存在する。企業を存続するためにやむを得ないと言いながら、自身の報酬は減額せず、その後も居座る経営者も多い。

  • 第255回  「ウィズコロナ」へ求められる業種別の指針

    8月に入っても、依然として、新型コロナウイルス感染拡大が収束するどころか、再拡大の気配すら見せている。そのような状況下にあることで、多くの企業では、現在も在宅勤務の継続や出社との併用を継続している状況が続いている。(アタックス研究員・坂本洋介)

  • 第254回  必要なものを必要な人に

    東京都千代田区にランドセルを中心に、さまざまなカバンの企画・製造・販売を行う協和という会社がある。同社は、1948年に若松秀夫社長氏の父、若松種夫氏が、東京・浅草で創業した。社名の由来は、創業者が太平洋戦争で南方戦線を転戦し、一緒にいた4000人の部隊が40人に減って死地をさまよった際の教訓である。そこから生還できたのは、仲間と食べ物を分け合った人間だけだった。そうした壮絶な経験から、「どんなときでも仲間や同僚と強調して助け合う。平和を大切にする」との人生訓を得て、「協和」と名付けた。

  • 第253回  企業経営の最高の使命と責任は「社員とその家族をまず守る」

    企業経営の最高の使命と責任は、五方良しの経営の実践、とりわけ社員とその家族の命と生活を守ることである。リストラをされて、幸せを実感できる社員や家族などいないし、路頭に迷って幸せを実感する社員や家族もいないからである。それゆえ、企業経営において決してやってはいけない最たることが人へのリストラなのである。(経営学者・元法政大学大学院教授人を大切にする経営学会会長 坂本光司)

  • 第252回  要望で品ぞろえするスーパー

    今回は、鹿児島県阿久根市で、生鮮食料品から自動車までを取り扱う総合スーパー、マキオを紹介する。同社は1985年、現社長の牧尾英二氏が、実弟が経営していた小売業を立て直すため、自動車メーカーを辞めて地元に戻り、設立したのが始まり。同年、日本で初めて小商圏(人口3万人以下)で、24時間年中無休の、大型店舗(売り場面積3500坪)の開設を国に申請したが、「商圏に30万人以上が必要」と言われ行政の許可が下りず、11年後の97年にようやく、「A-Zあくね」を開店できた。

  • 第251回  新型コロナを乗り越える戦略ストーリー

    筆者は隔週で社員の有志と早朝読書会を開催している。仕事柄、経営に関する本を取り上げるケースが多い。現在は一橋大学の楠木建教授の著書「ストーリーとしての競争戦略」をテーマに、一章ずつ丁寧に読み進めている。読書会ではメンバーが順番で担当し、レジュメを準備し最初の30分程度説明する。次に参加者一人ずつがそこで得た気付きを発表し、筆者がコメントを加える。そして全員の発表が終了した後に筆者が統括するのが読書会の流れである。(アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭)

  • 第250回  コロナ対策 自社技術で貢献

    7月に入っても、いったん収まりつつあった新規感染者数が再び増加傾向になるなど、新型コロナウイルス感染拡大の影響が収束する気配はいまだない。

  • 第249回  今も昔も求められる文章力

    日本漢字能力検定協会が、人事部門の人材育成担当者を対象に、企業における文章力の課題について、今年1月28~30日に550人から回答を得たインターネット調査の結果を公表しているが、その内容は興味深いものであった。

  • 第248回  有事で顕在化、企業の本性

    筆者がつくった言葉の一つに「大不況になると経営者ばかりか社員の本性が顕在化する。だから時々不況になった方がいい」がある。

  • 第247回  変化の時こそチャンス 今こそニーズとシーズを探そう

    今回の新型コロナウイルスは1929年から始まった世界大恐慌以来の大きな不況を招くと予測する論者が多く、闘いは長期戦になるといわれている。ワクチンの開発あるいは集団免疫の獲得によって収束するだろうが、今後2年間はかかるというのが大方の予測だ。封じ込めたとしても社会経済活動は元には戻らない。これまで当然と考えていた価値観や常識が大きく変化し、ニューノーマル(新常態)の時代に突入する。(アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭

  • 第246回  他社がやらないことこそ

    今回は、浜松市で各種ばねや関連製品の製造販売を行う沢根スプリングを紹介する。同社は1966年、沢根孝佳社長の父が浜松で創業。当時、自動車部品メーカーの量産品が主な仕事だった。日本のばね業界では、需要の6割が自動車業界、2割が家電業界。同氏が社長に就任した1990年当時、ご多分に漏れず、同社の売り上げも8割は自動車業界向けで、お客さまからの図面や仕様に基づいて製造する下請け受注生産だった。同氏は、早くから「効率的に毎日同じものを大量に作り続け、価格競争の中で戦い続けることほどつまらないことはない」と考え、自社商品を持ちたいと強く望んでいた。

  • 第245回  性善説で進めるテレワーク アタックス研究員・坂本洋介

    新型コロナウイルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ、新型コロナを想定した「新しい生活様式」が先月公表された。その実践例として、「一人一人の基礎的感染対策」「日常生活を営む上での基本的生活様式」「日常生活の各場面別の生活様式」「働き方の新しいスタイル」が紹介されている。

  • 第244回  「かかりつけ薬局」に徹する…地域密着型で地位築く企業

    今回は、福岡県北九州市でドラッグストア・調剤薬局を経営するサンキュードラッグを紹介する。同社は、1956年に薬局としてスタートし、その後、北九州初の本格的ドラッグストアを開店するなど、順調に拡大していった。しかし、80年代に入ると、北九州を支えていた鉄鋼業が斜陽化し、人口減少と高齢化が急速に進み、衰退していく。そのような中、人口の多い福岡に出店するが、わずか3年で撤退を余儀なくされた。(アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明)

  • 第243回  一括りにコロナ倒産は危険 アタックス研究員・坂本洋介

    新型コロナウイルスとの終わりの見えない戦いが続いている。既に長期戦の展開を見せており、企業活動の縮小・自粛などの影響を受け、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産「新型コロナ関連倒産」も月を追うごとに増加をしている。

  • 第242回  新型コロナ終息後の「働きがい」にも新常態が出現か

    突然やってきた新型コロナウイルスショックで資金繰り対策に頭を悩ませている経営者は多い。短期的に考えれば会社は資金さえ確保できれば倒産することはない。経営者はまずは固定費を中心としたコスト削減と緊急融資、事業継続の助成金などで、何としても資金を確保し、今回の難局を乗り切ることである。大事なことはいずれ新型コロナは終息するが、その時の経済環境はコロナショック前とは異なったものになるという考えを持つことである。パラダイムシフトにより新常態が出現するといってもよい。

  • 第241回  ここまでやるかコープみやざき 客のための運営、徹底的に実施

    仕事柄、全国各地に出かける機会が多い。たいていの場合、街中や駅ビルで見つけたおいしそうな菓子を、土産に買って帰ったり、または宅配で送ったりする。自分も菓子好きであり、また一人でも多くの親しい仲間に食べていただきたいので、買う量・送る量は平均の5倍以上かもしれない。(経営学者・元法政大学大学院教授人を大切にする経営学会会長 坂本光司)

  • 第240回  パンの缶詰で食糧支援

    今回は、栃木県那須塩原市で、パンの缶詰の製造販売を行うパン・アキモトを紹介する。もともと「まちのパン屋さん」だったが、1995年1月に発生した阪神淡路大震災直後、被災者救援のためトラックで焼きたてパン約2000食を運んだことをきっかけに、パンの長期保存ニーズがあることに気づき、缶詰開発を始めた。実に1年半の期間を要して完成した商品は、最長3年間の賞味期限という、長期保存性とおいしさを兼ね備えるものとなった。

  • 第239回  独の働き方改革を参考に

    今、日本の企業は働き方改革に向け動き出している。しかしながら、その前に、あるいはせめて同時並行的に、「経営改革」そのものをしない限り、「働き方改革」ではなく、逆に社員を苦しめ、企業業績も高まらない、「働かせ改革」のようになってしまう。 では、どうすれば、働き方改革と経営改革を同時にすることができるのであろうか。国民性の違いもあるとはいえ、大いに参考になると思われる1つはドイツである。

  • 第238回  新型コロナのピンチをチャンスに変える取り組み

    いまだ新型コロナウイルスは終息するどころか、ますます拡大し、終わりの見えない戦いが続いている。筆者が前回連載でも書かせていただいたが、多くの企業が在宅勤務やテレワークの導入・活用を進め、また政府からの大規模イベントの自粛要請などもあり、経済活動に大きな影響が出始めている。

  • 第237回  事業承継に関する3つの質問

    筆者は日頃から多くの社長の相談に乗っている。相談の内容はさまざまであるが特に最近は事業承継に関することが多い。そんな時、筆者は社長に3つの質問をする。1つ目は「継がせるべき事業かどうか」。現在は変化の激しい時代であり、絶えず変革が必要である。「ここに10億円の現金がある。30年前の年金と仮定して、今の事業を新たに始めるか」。社長の答えが「他のことをしたい」のであれば子供には継がせないことになる。どうしても継がせたいのであれば社長が元気なうちに子供と力を合わせて継がせたい事業に変革させることである。

  • 第236回  組合員の声を生かす生協 生活協同組合コープみやざき

    今回は、宮崎県で、生鮮品、食品、雑貨・衣料品を中心に、店舗事業と共同購入事業を行う生活協同組合コープみやざきを紹介する。1973年、690人の組合員が「毎日の食事に体をむしばむ有害添加物が入っているということは、私たち母親・主婦にとって決して許すことはできない」との思いで設立している。以来、成長発展を続け、2019年3月末現在、組合員は25万3450人、県内世帯加入率は53.5%となっている。

  • 第235回  医療機器産業の台頭期待

    工業統計調査によると、日本の工業生産額は約305兆円である。これを業種別にみると、自動車を代表とする輸送用機器が約60兆円、以下、化学工業の28兆円、食料品の26兆円、鉄鋼の19兆円、そして工作機械を中核とする生産用機械が17兆円などと続く。 自動車を中核とする輸送用機械は、工業生産額の19.7%を占める最大産業である。加えて言えば、金属製品や鉄鋼、生産機械、非鉄金属、電子、プラスチック、そしてゴム工業などは、少なく見ても、その50%以上は自動車が市場である。

  • 第234回  インバウンド依存の怖さ 新型肺炎による需要減でわかった求められること

    いまだ新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。ある調査機関が、企業を対象に「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査(回答:1万2348社)を実施したところ、「現時点で既に影響が出ている」が22.7%(2806社)、「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」が43.7%(5401社)と、合わせて66.4%の企業が何らかの影響が出ていると回答している。

  • 第233回  企業寿命を伸ばすには

    私たち人間に平均寿命があるように、企業にも会社寿命というものがある。昔から「企業の寿命30年説」という言葉がある。これは、あるビジネス雑誌が1983年に、明治以来100年におよぶ上位100社のランキングを作成し、そのランキングを分析したところ、現存する企業が30年後に存在する確率は5%という結果が導き出したことが、その根拠となっている。

  • 第232回  第4次産業革命の時代における、トヨタの「危機感と価値観」

    現在は第4次産業革命の時代といわれている。インターネットの普及と人工知能(AI)の進化が企業経営に及ぼす影響は絶大で種々な産業で既存のビジネスを破壊し始めている。例えばトヨタ自動車は「従来のクルマをつくる会社からモビリティーを提供する企業にモデルチェンジする」と宣言している。最近は豊田章男社長が2020年末に閉鎖するトヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地を利用し、コネクテッド・シティーを完成させることを発表し話題となっている。このプロジェクトの狙いについてトヨタは「人々の暮らしを支えるあらゆるモノ、サービスが情報でつながっていく時代を見据え、この街で技術やサービスの開発と実証サイクルを素早く回すことにより新たな価値やビジネスモデルを生み出し続けること」としている。

  • 第231回  「工芸の工業化」で生産革命

    広島市佐伯区で、木製家具の製造・販売を行うマルニ木工を知っているだろうか。1928年に山中武夫氏が、加工によって自在に形を変える木の不思議さに魅了されて創業した会社で、木材の曲げ技術を確立した。現社長の山中武氏は、国内はもちろん、欧州、北米、オーストラリアなど世界30カ国へ輸出し、世界に多くのファンを持つ。代表的商品である「HIROSHIMA」といういすは、米カリフォルニア州にあるアップル本社にも数千脚納入されている。

  • 第230回  変わる宿泊業の働き方 業界常識の改革に挑む旅館・ホテルも

    宿泊業といえば、休日が少なく営業時間が長い代表的な業界と思われている。事実、少し前の調査結果にはなるが、2010年に厚生労働省が旅館業に対して「仕事と生活の調和アンケート」を実施している。その中で「仕事と生活の調和」推進の障害と考えられる理由という設問に対し、「客との関係で労働時間が不規則になりがち」(74.4%)、「季節など時期的な繁閑差が大きい」(66.7%)、「営業時間が長い」(59.0%)、「夜間や休日の勤務が発生しやすい」(51.3%)が50%を超えていた。(アタックス研究員・坂本洋介)

  • 第229回  黒字企業のリストラを問う

    希望退職者を募集する。つまり、リストラをする大企業が、最近、再び増加している。よりひどいのは、そのうちの約60%は黒字企業で、中には利益が前年比10%どころか30%を超える程、好業績の企業も存在する。赤字企業のリストラも許しがたいが、より問題なのは黒字企業のリストラである。いかなる理由があるにせよ、こうしたお天道さまに顔向けできないような経営を行う企業が多数派である限り、わが国経済はもとより、社会の未来も危うい。

  • 第228回  「おひとりさま市場」から見た新たな需要の開拓

    ここ最近よく聞く言葉として「おひとりさま市場」というものがある。ちなみに、おひとりさまとは、単身世帯の増加やライフスタイルの変化や趣味・嗜好(しこう)の多様化などにより、一人で行動・消費することを好む人たちのことを指す。そして、おひとりさま市場とは、その方たちをターゲットにした新たな市場である。

  • 第227回  企業の目的は顧客の創造

    現在は大変化の時代であり、グローバル化の進展、AI(人工知能)革命、少子高齢化、循環型社会の実現といった基本的な潮流の中で企業は変革を迫られている。現在は変化が常態化しているといっても良い。ピーター・ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造」といった。絶えず変化する経営環境の中で企業は顧客を創造し続けなければ存続することができない。経営者が一番考えなければならないのは長期的視点に立った事業のあり方と顧客の創造である。ドラッカーは企業が顧客を創造するためにはマーケティングとイノベーションという2つの活動が必要であるといった。

  • 第226回  輸出で活路を見いだせ

    経済センサス(2016年)によれば、近年の年間平均開業企業数は14万社、廃業企業数は27万社となっている。差し引きすると、年間13万社が減少している。より驚くのは、この間、好不況などいかなる環境変化にも企業は増加せず、右肩下がりに減少し続けていることだ。多くの企業において新たな時代が求める経営や、そのための価値創造ができなかったのが最大の要因だ。

  • 第225回  創業は1805年 不易哲学守りつつ柔軟さも

    東京都江東区にあるくず餅の製造販売を行なう船橋屋。創業は1805年(文化2年)で長い歴史を持つ。「くず餅ひと筋、真っすぐに」の理念の下、くず餅に特化。まじめに、正直に、時代にあわせ柔軟に変化・進化してきた。同社が関東風くず餅の老舗として200年を超えて成長発展してこれた一番の原因は、くず餅づくりの姿勢にある。「原材料」「水」「木」「無添加」「鮮度」「品質管理」という6つにこだわり、消費期限2日に対して、発酵熟成に450日間もの時間をかけてきた。この「江戸の粋」を大切にする姿勢があってこそ、ここまで、本物のくず餅を提供し続けてこれたのだ。

  • 第224回  グローバル化する経済活動へ 中期計画で“ワンチーム経営”を

    最近、大手システムベンダーの依頼で「経営者・経営幹部の戦略発想力」についてセミナー講師を務める機会があった。令和の時代は平成の30年間をはるかにしのぐ環境の変化が待ち受けている。経済活動はますますグローバル化する。AI(人工知能)革命で社会は大きく変化する。先進国では少子高齢化が進む。循環型社会を実現しないと人類は危機を迎えることも予測されている。今こそ経営者は基本に立ち返り、社員全員の力を結集して“ワンチーム”で経営にあたるべきではないか。

  • 第223回  黒字企業と赤字企業の違い

    先日、企業の収益に関する2つの調査データが発表された。1つは、国税庁の2017年度分「会社標本調査」。そしてもう1つは帝国データバンクが発表した「連続増収増益企業」調査(17、18年度決算)だ。

  • 第222回  トップの進退決断理由

    先日、ジャパネットたかたの創業者で、現在、サッカーJリーグ2部V・ファーレン長崎の高田明社長が、来年1月に社長を退任するという報道があった。高田氏は2017年4月に当時、前年度決算で1億円の赤字を抱えるなど経営難に陥っていたクラブの再建を担い、就任1年目で初のJ1昇格を果たしている。当時、まったく異なる分野への挑戦に、「自分がずっと子供たちの夢を応援してきましたので、長崎からこのクラブがなくなるのは大変なことだ」「ビジネスとスポーツは、業界は違えど目指すミッションに変わりはない。スポーツは皆さんに幸せを与えていく。それは商売も商品も同じなんですよ。それをブレずに持ち続ければ社長を承ってもどうにかしていけると感じた」と話していた。

  • 第221回  AI開発もする在阪中小企業

    新大阪駅から電車を乗り継ぎ40分ほど行った大阪府泉大津市にHCIという社名のものづくり企業がある。主事業は、柔軟材の加工・組立・検査などをする機械の研究開発と製造である。とりわけ、業界から評価が高いのは、ケーブルやワイヤ・チューブなどのより線をする機械やロボットシステムで、社員数は45人ながら、この分野ではトップブランド企業である。

  • 第220回  技術と人間力の錬磨続ける

    大和合金の特殊銅合金は、自動車、航空機、半導体、鉄道、船舶、一般機械、光ファイバー海底ケーブル、熱核融合実験炉装置用材料、金型材料などに幅広く使用されている。今や航空機の離着陸を支えるランディングギア部品について世界を代表する航空機メーカーからも高く評価され、グローバルニッチトップになる日も近い。

  • 第219回  アジアの経営者に思う

    数年前からであるが、毎月のようにアジアの国々の経営者が、私たちの唱える業績や勝ち負けではなく「人を大切にする経営学」を学びにわざわざ来日する。その国・地域は、タイ・台湾・ベトナムなどもあるが、とりわけ多い国は中国の経営者である。来日の目的は「5方良しの経営」「人を大切にする経営」を理論と実務の両面から学ぶためである。

  • 第218回  販売業ではなく購買代理業

    先日、本連載執筆者の1人である坂本光司氏が、それぞれの顧問を務めている、静岡県中小企業経営革新フォーラム21、福井県経営革新フォーラム、そして神田経営者クラブの3つの異業種交流会による合同例会があった。年に1回行われているが、今回は大分・宮崎の人を大切にする経営を進める企業・団体を訪問させていただいた。今回は、その中で訪問した宮崎市にある生活協同組合コープみやざきの取り組みについて紹介する。

  • 第217回  経営者は経営理念の伝道師

    筆者はアタックスグループの創業メンバーであり、社員研修の場で当グループの創業の志・理念をベースとしてミッション・ビジョン・行動原則からなる「アタックスウェイ」を毎年話す。変化の激しい時代ではあるが創業の志・理念と現在当グループが掲げているミッション・ビジョンは、その本質、意味するところは同じである。

  • 第216回  中小特化のビジネススクール開講に見る、その重要性

     来年4月より、日本初の「中小企業人本経営(EMBA)プログラム1年コース」が、千葉商科大学大学院商学研究科と筆者が会長を務める人を大切にする経営学会とが共同し、開講することが決定した。開講の目的は、大きく2つある。1つは、中小企業経営に特化したビジネススクールがわが国には存在しないからである。大企業と中小企業の最大の違いは、規模ではなく、生きる世界・生きる使命が違う。あえて海の魚に例えれば、大企業は深みで泳ぐクジラのような生き物であり、一方、中小企業は浅瀬で泳ぐ魚ともいえる。

  • 第215回  着物の面倒を楽しむ会社は、なぜ成長発展を遂げることができたのか

    新潟県十日町市で、着物総合加工業を営む「きものブレイン」。1976年、現代表取締役の岡元松男氏が、絹織物や着物の産地だった同市で呉服販売業を創業したのが始まりだ。事業は始めたものの、着物が高価なため汚したくないので、着るのを控えるといった状況に陥っていることに気付き、このままでは日本人が着物から離れてしまうという危機感を強く抱いた。

  • 第214回  「いいものは高くて当然」 経済の原理原則を貫いている企業のこだわり

    常識的に考えれば、いいものは高く、二流品・三流品は安くて当然である。なぜならば、いいものは、いい原材料を使用しているし、開発から製造販売まで、大変な手間暇をかけ作っているので、当然高くなる。

  • 第213回  時代の移り変わりどう見るか

    先日、大阪のある企業の倒産に関する報道があった。その企業の主業務は、ユニホーム製造業で、設立以来、総合ユニホームメーカーとして、民間企業などのスーツ、ブレザー、スカート、ブラウス、ワーキングウエアといった制服を製造していた。(アタックス研究員・坂本洋介)

  • 第212回  供給者の思いと購入者の思い

    「佰食屋(ひゃくしょくや)」というお店をご存じだろうか。京都の国産牛ステーキ専門店で、1日100食限定で、100食売り切れた時点で営業終了となるため、分かりやすくそれを店名としている。しかも驚くのは、午前11時から午後2時半とわずか3時間半の営業時間のみで売り切り、夜の営業は一切していない点だ。

  • 第211回  「ドラッカーの質問」に学ぶ

    筆者は7月、20代で創業し設立10年目の2017年11月に東京証券取引所の新興企業向け市場マザーズに上場したクックビズの藪ノ賢次社長と対談形式のセミナーを行った。藪ノ社長は「日本が誇る多様な食文化こそが、世界と互角以上に戦える産業である」という志を掲げ、具体的には飲食業界の人材不足・高い離職率といった課題を解決すべく飲食業界特化型の人材ビジネスを展開している。

  • 第210回  サンタ公認の豪雪用除雪機

    新潟県燕市に雪深いフィンランドのクリスマス財団認定の除雪機メーカーがある。1865年(慶応元)年創業のフジイコーポレーションで、除雪機以外にも草刈り機などを製造・販売している。今では主力製品となった除雪機は1972年、農閑期の冬に生産できる製品として歩行型から製造を開始した。83年、藤井大介氏が社長に就任。以降、積極的に輸出するようになったところ、2007年、「サンタクロース公認除雪機」として、フィンランドのクリスマス財団から認定されるに至った。それ以来、同社のロゴマークはサンタクロースである。

  • 第209回  「社員第一」に中国人も変化

    ここ数年、アジア、とりわけ中国から「社員第一主義経営」を学びに、わざわざ日本に来る経営者が多い。その行動パターンは、筆者が紹介した「社員第一主義経営」を実践する中小企業の現地視察と筆者からの講話である。かつても、経営学を学びに来日する中国人経営者は多かったが、その行動パターンは様変わりである。

  • 第208回  社長と会長の違い

    先日、久方ぶりに親しい中小企業経営者であるW氏にお会いする機会があった。W氏は、苦労に苦労を重ね、今や、日本を代表する名中小企業経営者と高く評価されている方であるが、「名刺が替わりましたので」と言って、渡してくれた名刺を見ると、「相談役」となっていた。

  • 第207回  風物詩・代名詞からの脱却

    世の中には、○○の風物詩、○○の代名詞と言われるものが数多く存在している。例えば、夏の風物詩のイメージが強い花火。7月後半から8月にかけ、全国各地で多くの花火大会が開催されていることもあり、そのイメージが、私たちに強く植え付けられていると思われる。

  • 第206回  創意工夫で通年生産を実現

    新潟市で家庭用石油ファンヒーターなどの製造・販売を行うダイニチ工業は、1957年に創業者の佐々木文雄氏が新潟県三条市で設立したのが始まりだ。2018年には、家庭用石油ファンヒーター市場で、累計生産台数3000万台を達成した。また販売台数シェアでは11年連続業界トップ、市場シェア50%以上と、圧倒的な地位を確立している。

  • 第205回  事業の再定義で変化に適応

    企業の目的は「顧客の創造である」。これは「経営の神様」とされる世界的な経営学者、ピーター・ドラッカーの言葉だ。変化する経営環境に敏感に適応し、顧客を創造し続けることのできる会社でなければ存続は難しい。

  • 第204回  サービスの取捨選択が奏功

    大阪市に本社を置き、国内主要都市や海外にもホテルチェーンを展開するスーパーホテルを紹介する。1989年に創業者で現会長の山本梁介氏が設立したのが始まりだ。山本会長は大学卒業後、25歳の時に家業の繊維業を引き継いだが、単身者向け賃貸マンション経営に事業転換し、若者向けシングルマンションに特化した。

  • 第203回  会社の黒子に徹する経営者

    最近、プロ経営者という言葉を耳にする機会が多い。異なる業界や有名企業での豊富な経営経験を買われ、内部昇格ではなく、外部から招聘(しょうへい)される形で企業トップに就任する経営人のことをいう。

  • 第202回  若手を邪魔する最近の年寄り

    「最近の若者は…」という言葉をよく年寄りが使用する。その意味は「自分たちが若い頃はこうだったとか、こうしたが…、今どきの若者は、自分たちが若かったころとは違い、努力が足りないとか、やり方が間違っているとか…」といったことである。

  • 第201回  人口減少、令和時代の人財獲得法

    いずれ人口減少社会が到来することは平成を迎える時代から分かっていた。令和になり人口減少問題はますます加速するであろう。世界的な経営学者、ピーター・ドラッカーは未来予測で一番確実なものは人口構造であり「人口、年齢、雇用、教育、所得など人口構造に関わる変化ほど明白なものはない。見誤りようがない。予測が容易である。リードタイムまで明らかである」と言った。

  • 第200回  斜陽産業でも異彩放つ企業、ダイニチ工業から考える

    斜陽産業と呼ばれる業種がいくつか存在する。斜陽産業とは、需要が傾向的に減少している産業のことだ。よく、経営者の方と話をすると、「うちは斜陽産業だから…」「うちは構造的不況業種だから…」と嘆かれることが多い。しかし、筆者がこれまで見てきた企業の中には、下りのエスカレーターに乗っているといってもよい斜陽産業の中にあって、勢いよく駆け上がって、成長を遂げている企業も多い。

  • 第199回  アノ会社はなぜ設立当初から、こんな高度な仕事ができたのか

    ITソリューション事業などで注目を集めるアクロクエストテクノロジー(横浜市港北区)を紹介したい。1991年に現代表取締役の新免流氏が設立したのが始まりだ。新免氏は大学の工学部建築学科を卒業後、クリエーティブなものづくりをしたいとの思いからゼネコンに就職した。しかし、理想とは程遠い、工程管理・価格管理が中心の仕事であったため、ITソフト開発会社に転職した。

  • 第198回  男性だって育児はしたい

    既に報道されているように、三菱UFJ銀行が2歳未満の子供を持つ全ての男性行員を対象に、育児のための休暇を1カ月取得することを事実上義務付ける制度を5月から始めると明らかにした。出産の約1カ月半前をめどに、育休取得の計画書を上司に提出する仕組みもつくるという。育休期間の過ごし方や、家庭の状況などを任意で書いてもらい、周囲の理解を得やすくすることも検討している。

  • 第197回  全員参加型が経営の王道

    松下電器産業(現パナソニック)を創業した松下幸之助は「経営の神様」と呼ばれていた。松下幸之助の経営哲学を学んだ経営者の中で最も偉大な人物は京都セラミック(現京セラ)を創業した稲盛和夫であろう。現在の「経営の神様」と呼んでも良いと思う。

  • 第196回  販売も開業も丸ごと支援

    高収益を維持している中堅中小企業で、製パン・製菓機械の製造・販売、開業相談を行う愛工舎製作所(埼玉県戸田市)に注目している。同社は、1938年に代表取締役会長の牛窪啓詞氏の父親が創業したのが始まりで、40年には日本初の氷削機(かき氷製造機)を製造販売したことで知られている。長男の啓詞氏は、家業を継ぐことを意識して、大学卒業後すぐに入社している。74年、創業者である父親が病に倒れたため29歳の若さで社長に就任した。

  • 第195回  福祉とバイヤーマッチング

    全国各地に障害者が就労している施設は、A型が3600カ所、B型が9200カ所、そして移行施設が3000カ所ある。また身体や知的あるいは精神といったさまざまな障害がある人を雇用している中小企業も多数ある。

  • 第194回  「当たり前」が出来ない社会

    企業の不祥事に関する報道が後を絶たない。特に多く報道されているのが、食住に関わる企業の不祥事問題・不適切動画問題である。食で言えば、大手コンビニチェーン店の店員が、商品をレジ袋に入れる際に、パッケージやペットボトルの飲み口をなめる様子を撮影した映像をネット上に投稿した問題。また大手牛丼チェーン店でも、やはり店員が床に氷のようなものを投げたり、調理器具を本来の使用目的とは明らかに異なる方法で使用したりした映像をネット上に投稿していた。

  • 第193回  経営にも通じるイチロー会見

    シアトル・マリナーズのイチロー選手が3月21日、現役引退を発表した。日本で9年、アメリカで19年。日米通算4367安打という記録や、日本人野手の大リーグ挑戦のパイオニアとしての貢献は計り知れない。そのイチロー選手が、現役引退会見をしたときの内容に、企業経営と重なる部分が多くあったので、今回はそれを取り上げてみたい。

  • 第192回  時流に乗るまで諦めない

    新たな市場を開拓し成功した企業を取り上げてきたが、今回は無添加せっけん市場で圧倒的なシェアを築いたシャボン玉石けん(北九州市若松区)を見ててみたい。同社は1910年創業。2代目の森田光徳氏は、合成洗剤を製造していたが、個人的に原因不明の湿疹に長年悩まされていた。71年、日本国有鉄道(国鉄)から「合成洗剤で機関車を洗うと車体がさびる」と無添加の粉せっけんの開発・製造を依頼された。

  • 第191回  期待して新人を育てる

    少子高齢化で働く人々が減り続ける中で、経営者の悩みは求人難だろう。学生に魅力を感じてもらえるよう、事務所のリニューアルや移転を考えたり、勤務条件、給与水準を見直したりしている。採用をめぐる企業間競争は激しいが、学生が就職を決める要因で見落としてならないのは入社した会社で自己成長できるかということだ。

  • 第190回  単身赴任は「当たり前」?

    企業経営の最大・最高使命は、企業に関わる全ての人々の永遠の幸せの追求・実現である。そして、経営者をはじめとした組織のリーダーが、とりわけ、その幸せの追求・実現に注力しなければならない人は「社員とその家族」だ。それもそのはず、社員満足度なくして顧客満足度などあり得ないからである。それゆえ、企業経営者やリーダーは、いつでも・どこでも、またどんな事態になっても、社員とその家族の命と生活を守らなければならない。逆に言えば、もしもそれができなくなったら、経営者やリーダーは潔く企業から退出すべきである。

  • 第189回  高学歴職人集団が一貫施工、平成建設の「池クジラ」ぶり

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を維持している企業を紹介している。今回は建築業・不動産業の平成建設(静岡県沼津市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第188回  価値ある企業の廃業を防げ 事業承継が難しい課題

    ある調査研究機関から、2018年「休廃業・解散企業」動向調査の結果が発表された。それによると、18年に全国で休廃業・解散した企業は前年比14.2%増の4万6724件だった。増加は16年以来、2年ぶりという。18年の企業倒産は同2.0%減8235件と10年連続で前年を下回ったという結果もあるが、休廃業・解散の大幅な増加を見ると、景気が上向いている実感はやはり持ちづらい。

  • 第187回  偉大な企業への「発展の法則」とは

    有志の社員との読書会で、ジェームズ・C・コリンズの「ビジョナリーカンパニーII・飛躍の法則」を扱った。原題は「good to great」。普通の良い企業が偉大な企業へと発展した「法則」を、コリンズを中心とした研究チームが1万5000時間の調査で導き出している。(アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭)

  • 第186回  「社長の給料」適正額は? 日産ゴーン氏の事件をきっかけに議論活発化

    日産自動車の前会長であったカルロス・ゴーン氏の事件をきっかけに、企業経営そのものに関する議論が活発化している。その一つが社長の給料(年収)問題である。東京商工リサーチの資料によると、わが国の上場企業役員で年収が1億円以上は457人、社数では221社ある。なかには5億円どころか10億円以上の役員も少なからずおり、一般のサラリーマン・サラリーウーマンが約40年働いて得る生涯収入が約2億円であることを考えても、正直、常識外れの年収を得ていることになる。

  • 第185回  お好み焼きソースで新市場

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を維持している企業を紹介している。今回は、ソース、酢、たれ、その他調味料の開発、製造、販売を行うオタフクソース(広島市西区)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第184回  上司に求められる判断能力

    今年も2、3日と、第95回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)が開催され、東海大学が総合優勝して幕を閉じた。毎回、激しい優勝争い・シード権争いが繰り広げられるなかで、考えるべき問題も提起してくれるのが、この大会だ。今回は、往路1区でそれが起きた。スタート直後に大東文化大学4年生の新井康平選手が転倒し、足を引きずりながら、襷(たすき)をつないだシーンだ。沿道やテレビで見た人も多かっただろう。新井選手の頑張りを否定するつもりはないが、正直、経営者・上司が下す判断の難しさを感じざるを得なかった。

  • 第183回  京セラの全員参加経営に学ぶ

    存命の名経営者として必ず名前が挙がるのは京セラ創業者の稲盛和夫氏だろう。師と仰ぐ経営者は大変多く、筆者もその一人だ。最近、京セラで稲盛氏の秘書を務めた大田嘉仁氏が書いた『JALの奇跡』が出版された。大田氏は、JALで稲盛会長就任時に意識改革担当となった。この本で改めて思い知らされたのは稲盛氏の経営者としての人物の大きさであり、京セラを創業し一流企業に育て上げる過程で創り上げた全員参加経営の仕組みだ。稲盛氏が、JAL再生に持ち込んだのは、京セラで実践してきた経営管理手法である。

  • 第182回  出産・子育て支援の充実を

    社員の子供の数が多い会社は「いい社風」。つまり会社の中にいい風が吹いているという特長があることを以前、書いた。こうした会社のもう一つの共通した特長は、直接・間接を問わず、出産や子育てのための支援制度が充実している点だ。しかも、単に制度が充実しているというだけではなく、心安らぐ内容の制度が散りばめられ、それらが気兼ねなく利活用されている。

  • 第181回  価格決定権を持ち、倒産リスクを軽減 「夢工場」の池クジラぶり

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となり、高収益を獲得している企業を紹介している。今回は超短納期で、多品種単品のアルミ切削加工から装置開発まで行う、HILLTOP(ヒルトップ、京都府宇治市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第180回  高齢社会の行く末 

    普段テレビをあまり見ることはないが、たまたまNHKで放送されていた「人生100年時代を生きる 第1回『終の住処はどこに』」という番組を見て、直接、知恵の経営につながらないかもしれないが、考えることがあった。

  • 第179回  業績拡大の信金にみる「池クジラぶり」 よろず相談で差し出る経営実践

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となり、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は、但陽信用金庫(兵庫県加古川市)の池クジラぶりを見ていきたい。同信金は1926年6月10日に創業した。現在34店舗と81カ所の店外ATM(出張所)を保有し、2017年度末の預金残高は7323億円となっている。

  • 第178回  事業承継に3つの質問

    中小企業を悩ます事業承継の困難さは、おおむね現経営者に2つの心配があるからだ。一つは今の事業構造では存続が難しいこと、もう一つは後継者が不在か、能力の不足だ。筆者は事業承継に悩む60代後半から70代の経営者と同世代で、最近特に相談が多い。基本スタンスは会社の実情を徹底的に聞き、質問を繰り返して経営者の考えを整理し、決断を助けることだ。決断したら事業承継計画を策定し、実行を支援する。

  • 第177回  頑張る下町の弁当屋さん 113年前に「升本酒屋店」としてスタート

    JR総武線に乗り、亀戸駅で下車、そこから徒歩で5分ほど歩いた駅前商店街の一角に升本フーズの本社兼店舗がある。 主な事業は、仕出し弁当など各種弁当の製造販売をしているほか、料理店を本店近くでオープンしている。都内を中心に、約10店舗の直営店もあり、業界では知られた企業である。

  • 第176回  いい会社はいい取引から

    長期にわたり、好業績を持続している企業の最大級の特長は「5方良しの経営」をぶれずに実践していることにある。5方とは、(1)社員とその家族(2)社外社員(仕入れ先や協力企業など)とその家族、(3)現在顧客と未来顧客、(4)地域住民とりわけ障害者者ら社会的弱者、(5)株主-の5人だ。5方良しの経営とは、この5人が程度の差こそあれ、大切にされていると実感する経営のことだ。

  • 第175回  「従業員」という言葉の違和感

    先日、ある経営者と話をした際に、「従業員」という言葉への違和感に関する話題が出た。その経営者は、私たちが何気なく使っている従業員という言葉に、以前から違和感があるという。実は私も、それでは何が正解なのかといわれると分からないが、違和感を持っていた。

  • 第174回  無農薬発芽野菜を究める

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となり高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は野菜づくり農業、ちこり焼酎の製造販売、教育型観光生産施設「ちこり村」の運営、種子開発事業などを行うサラダコスモ(岐阜県中津川市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第173回  廃業防ぐための社長の役割

    総務省・経済産業省による基幹統計調査、経済センサスによれば、近年の年間開業企業数は約18万社(含む個人企業)。一方、廃業企業数は24万社を数える。廃業企業数は、開業企業数を6万社も上回っており、過去15年間で見ると、何と100万社もの企業が減少している。

  • 第172回  人口減少時代 重要な人づくり

    最近「人口減少時代の経営と組織・人づくり」というテーマの講演をした。長期的かつ巨視的な視点で経営環境に影響する未来を展望すると、(1)グローバル化(2)情報化社会の進展(3)少子化・高齢化(4)地球環境の保全の4つの基本的な潮流がある。一番考えなければならないのは少子化・高齢化だ。

  • 第171回  今こそ、問われる障害者雇用

    改正障害者雇用促進法が2018年4月1日に施行された。障害者の法定雇用率は、民間企業がこれまでの2.0%から2.2%に、国・地方公共団体などが2.3%から2.5%に、都道府県などの教育委員会が2.2%から2.4%に、それぞれ引き上げられた。厚生労働省のホームページを見ると、障害者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活できる「共生社会」実現の理念の下、従業員が一定数以上の規模の事業主は、障害者の割合を「法定雇用率以上にする義務があります」と書かれている。(アタックス研究員・坂本洋介)

  • 第170回  銘柄豚が6次産業化へ発展

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となり高収益を実現している企業を紹介している。今回は農産物の生産、酪農製品加工、食品製造、農業公園運営の事業と食育の取り組みなどを通じ次世代に豊かな自然環境と農村文化を守り、つなげる運動を推進する、伊賀の里モクモク手づくりファーム(三重県伊賀市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第169回  「社会性」と「収益性」の両立

    創業経営者との対談式セミナーで対話したリネットジャパングループを紹介したい。 黒田武志社長は1989年、トヨタ自動車に入社。新規事業立ち上げに抜擢(ばってき)されて面白さを知り、起業を志す。偶然ブックオフを創業した坂本孝氏が起業家を支援する企画の記事を読み、すぐブックオフ本社を訪問。坂本氏の起業家のオーラに感銘し、各地の講演を最前列で聞き、実際に働きたくなって、三重県四日市市のブックオフ店舗でアルバイトを始めた。

  • 第169回  能力発揮度を2倍、3倍に

    全国規模で人財不足が加速・拡大している。労働需給の実態を示す有効求人倍率も、今やバブル期並みのレベルにあるばかりか、人財不足状態にある企業が50%を超える勢いである。

  • 第168回  社員慰留の賃上げに意味は?

    先日、ある調査研究機関から、2018年度「賃上げに関するアンケート」結果が公表された。調査は18年5月18~31日にインターネットでアンケート形式で実施、有効回答のあった7408社のデータを集計、分析した結果である。

  • 第167回  深刻な事業所数の減少

    今から約20年前、1996年の「事業所・企業統計調査」をみると、わが国に存在していた民営事業所数は約650万カ所であった。しかしながら、これを最新の2014年調査(経済センサス)でみると、約554万カ所となっており、この約20年間でなんと100万カ所の減少となっている。

  • 第166回  変化の時こそ理念が大切

    当社では「アタックスアカデミー」という社員研修を継続的に行っている。講師はテーマごとに社内の専門コンサルタントが担当し、受講生は現場で働く中堅社員たちだ。筆者が先月の講義で語った経営理念の意義と経営に与える効果について考えたい。

  • 第165回  お茶屋さんのパートナーに

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となり高収益を実現している企業を紹介している。今回は食品包装資材の企画・製造・販売の吉村(東京都品川区)の池クジラぶりを見ていきたい。同社は1932年、吉村英一氏が創業。73年、後継社長に就いた現社長の父、吉村正雄氏は茶袋の生産能力を飛躍的に伸ばし商圏を東京から全国に拡大して業界トップになった。2005年に長女の橋本久美子さんが3代目社長に就任。ペットボトルのお茶が売れ始めて日本茶をいれる習慣が急速に失われ、コーヒーが飲まれる社会に変化したことがきっかけだった。カタログ制作担当だった橋本社長は、消費者に目を向けるべきだと進言し、信頼を得た。

  • 第164回  勝利至上主義の功罪

    日本大学アメフト部の関西学院大学との練習試合での悪質タックル問題は、まだ読者の記憶に鮮明に残っていることと思う。その試合中に、日大選手が無防備になった相手選手に背後から悪質なタックルをしたことで、けがを負わせた問題だ

  • 第163回  ぶれないホテル業

    ホテル業をはじめ、介護業、マンション管理業、そして人材派遣業などを展開する、スーパーホテル(大阪市西区)グループがある。中核はいうまでもなく、ホテル業であり、現在、全国各地に125店舗、海外ではベトナムとミャンマーに3店舗運営する著名ホテルである。

  • 第162回  育成は「期待」「美点凝視」で

    筆者は顧問先の経営者との面談で、「社長が重要だと思う経営課題を3つ挙げるとするとどんなことか」を聞くことが多い。回答の中でほぼ共通している課題は人材の採用と育成だ。新入社員が配属されて、悩む管理職も多い。今回は職場での新人育成について解説したい。

  • 第161回  お客さまは神様か行き過ぎた顧客満足を思う

    先日「『お客さまは神様』は正しい?実は長時間労働生む大きな原因、問題はどこに?」という記事を目にした。それによれば、「お客さまは神様です」という言葉を生んだ演歌歌手の三波春夫氏は、お客さまの言うこと、求めることを果たすことが提供者の絶対的使命とは決して言っていないという。その記事で紹介された本当の言葉の意味は次の通りである。

  • 第160回  合成樹脂シート市場を創造

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となり高収益を実現した企業を紹介している。今回は合成樹脂繊維を用いた製品と、その技術を応用した産業機械の製造・販売を行う萩原工業(岡山県倉敷市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第159回  理念の浸透と実践が重要

    早稲田大学ラグビー部の中竹竜二・元監督の講演「組織を強くするリーダーシップとフォロワーシップ」を聞いた。「全員リーダーの時代がやってくる」というリーダー論を展開し、新しいリーダーの在り方を示唆していた。講演を参考に筆者の体験も踏まえてリーダーシップ論を述べたい。

  • 第158回  リーダーは真摯な姿勢で

    早稲田大学ラグビー部の中竹竜二・元監督の講演「組織を強くするリーダーシップとフォロワーシップ」を聞いた。「全員リーダーの時代がやってくる」というリーダー論を展開し、新しいリーダーの在り方を示唆していた。講演を参考に筆者の体験も踏まえてリーダーシップ論を述べたい。

  • 第157回  補聴器の巡回訪問で成功

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は医療機器、補聴器、聴能訓練器などの販売、修理を行う琉球補聴器(那覇市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第156回  「働き方改革」法案を問う

    政府は6日、「働き方改革」関連法案を閣議決定し、国会に提出した。最大の改革は、所定外労働時間、つまり残業時間に上限を設けるというものだ。この改革が真に誠実に働く人々や、その人たちを支えている家族の幸せ創りに寄与するか、正直疑問でならない。

  • 第155回  変化への挑戦はチャンス

    ある大手銀行系コンサルティング会社が主催する経営者向け講演会で、日本を代表する経営学者の伊丹敬之・国際大学学長の話を聞いた。

  • 第154回  頑張る福祉機器メーカー

    工場や農業で使用する省力機械・ロボットや福祉機器の設計製作を手掛けるキシエンジニアリング(島根県出雲市)という社員7人の中小企業がある。

  • 第153回  全社員の顔・名前を覚える

    顔と名前が覚えられている人ほど、会社への満足度、仕事へのモチベーションは高くなる。今回の受賞企業が、それを如実に証明してくれている。

  • 第152回  多品種微量を完全受注生産

    独自の「池(市場)」を見つけだし、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は金属ばねの設計、製造、販売を行う東海バネ工業(大阪市西区)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第151回  大家族的に人間を尊重

    ネオレックス(名古屋市熱田区)という社名のユニークな中小企業がある。社員数は34人ながら、東京大学、京都大学、東京工業大学そして名古屋大学といった高学歴の社員が全国各地から集まる企業である。現在の主力事業は、クラウドサービスやアプリの開発サービスなどで、とりわけ中心的業務は、自社開発ソフトである「バイバイタイムカード」と名付けられた「クラウド勤怠管理システム」だ。

  • 第150回  目指せ「働きがいのある会社」

    中堅企業の経営者からの相談で最近特に多いのは採用についてである。新人・中途ともに難しくなった。採用支援会社の提案で給与水準・勤務条件を見直して採用活動を行ってもうまくいかないのが実情だ。優秀な人材から大手に就職してしまい、中堅はなかなか来てくれない。少子化で経営者が採用・育成・定着という人材戦略を真剣に考えないと人材難で会社が存続できなくなる時代となった。

  • 第149回  こだわりの「3たて」で繁盛

    今回は「ちょっと贅沢(ぜいたく)、ちょっとおしゃれな食文化提供業」を事業領域とする、ピーターパン(千葉県船橋市)を取り上げる。千葉県内で焼き立てパンの店を7店舗展開している。同社には1月31日、人を大切にする経営学会「企業現地研究会」の際に訪れた。

  • 第148回  無人化技術で世界一目指す

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は生産ライン自動化の専門メーカー、ウインテック(愛媛県東温市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第147回  「断震」 住宅メーカー頑張る

    小野田産業(静岡市清水区)という住宅メーカーがある。創業は1945年、現社長の実父がスタートさせている。もともとは製材業として創業し、その後の住宅ブームもあり、現在の住宅産業に業態転換している。

  • 第146回  事業承継に関する3つの質問

    経営環境が激変する中で同族会社の事業を子供に承継するのは、正しい選択か考えてみたい。筆者は事業承継の相談を受けると次の3つの質問をする。

  • 第145回  働き方改革で継続ケア実現

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は高齢者施設などを運営する社会福祉法人合掌苑(東京都町田市)の池クジラぶりを見ていく。

  • 第144回  定着率向上で人手不足解消

    企業の人手不足問題を各種メディアが報道している。ある調査会社が2017年10月18~31日、全国2万3235社(回答率44.0%)を対象に実施した調査によると、「正社員が不足している」と回答した企業は49.1%と5割近くに達した。3カ月前の調査から3.7ポイント、1年前からは7.3ポイントそれぞれ増え、正社員の人手不足は多くの企業で経営課題の一つとなっていることは明らかだ。

  • 第143回  中小企業は浅瀬で泳げ

    大企業と中小企業の違いを、規模や資本力などという人がいるが、そうした認識は間違いである。あえて言えば、両社は生きる世界、つまり生存領域が決定的に異なる生物と理解し、認識すべきだ。

  • 第142回  働き方改革は経営者から

    働き方改革を、労働基準監督署から目を付けられるからではなく、成果を挙げる経営をするために、自ら先頭に立って取り組む姿勢がいま、経営に求められているのではないか。

  • 第141回  村おこしが生んだ沖縄土産

    今回は和洋菓子製造・販売と喫茶店・レストラン経営を手掛ける御菓子御殿(沖縄県読谷村)を取り上げる。11月16、17の両日、法政大学大学院の坂本光司教授が中心となって開いている「神田経営者クラブ」「静岡県中小企業経営革新フォーラム21」「福井県中小企業経営革新フォーラム」の3つの異業種交流団体の合同例会を沖縄で行った際、同社の澤岻(たくし)カズ子会長から話を聞いた。

  • 第140回  「人を大切に」 全国で啓蒙

    この連載の執筆者の一人でもある法政大学大学院の坂本光司教授が、2014年9月23日に「人を大切にする経営学会」を立ち上げたことを、ご存じの方も多いだろう。業績重視・技術重視・シェア重視といった経営ではなく、人の幸せをトコトン重視する経営の実践こそが、結果として企業に安定的な好業績をもたらすという思いの下、その先行研究の深化・体系化と、人を大切にする企業経営の普及に日々取り組んでいる。

  • 第139回  社員を大切にする会社

    先般、社会人大学院生たち約20人で台湾の企業を視察してきた。訪問先は台北市の2社と高雄市の2社の計4社である。台北の一社は、台湾で今、大学生が最も入社したい会社といわれている外食企業、もう一社は日本の大学で学んだ若者が創業した貿易会社だ。高雄の2社は産業用照明器具メーカーと、リサイクルビジネスを展開する会社である。

  • 第138回  “稲盛流”が生き抜く王道

    最近、社員旅行で京セラ本社と、隣接している稲盛ライブラリーを見学した。京セラは稲盛和夫氏が27歳のとき、勤めていた会社の仲間7人とともに創業。目的は「稲盛和夫が開発したファインセラミックの技術を世に問う」ためだ。本社2階のファインセラミック館には創業時から開発、製造、販売されたファインセラミック製品が展示され、特徴や用途が分かりやすく解説されている

  • 第137回  害虫駆除剤 改善提案で改革

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回はゴキブリ殺虫剤などの製造販売を行う、タニサケ(岐阜県池田町)の池クジラぶりを見ていきたい。同社は1985年、現会長の松岡浩氏が、発明家の谷酒茂雄氏と「谷酒生物公害研究所」を設立したのが始まり。翌86年には「ゴキブリに困っている世界中の人たちを助けたい」という思いから、タマネギの成分でゴキブリを引き寄せて駆除する、それまでにはなかったゴキブリ殺虫剤「ゴキブリキャップ」を開発した。

  • 第136回  全員が協力できる体制作る

    日本人形の製造販売を手掛ける、ふらここ(東京都中央区)を再び取り上げる。以前、女性活用により需要の変化をつかんだことを紹介したが、具体的にどう女性活用・女性活躍の場を作り上げたかを説明したい。 同社の女性正社員は現在10人で、責任ある業務を任されている。一般的に女性の場合、人の上に立って手腕を発揮するより、横並びで一緒に仲良くなる傾向が強いように思われがちだ。原英洋社長も1人を突出させて孤立してしまい、結果が出ないことを何度か経験した。

  • 第135回  中小農家が団結し魅力向上

    おおむら夢ファームシュシュの本部は、長崎空港から車で15分ほど走った大村湾が一望できる小高い丘の上にある。1万5000平方メートルの空間には、体験農業ができるブドウ畑や、リンゴ畑があるほか、シュシュで栽培されているさまざまな農産品や、それを加工した各種食品を販売する物産館、さらにはレストランや結婚式場などがある。時代は第6次産業といわれる中、今や長崎県を代表するビジネス農業体である。

  • 第134回  発展は「変化と革新」の継続

    水産商社、太新(東京都港区)の沖縄事業所(沖縄県糸満市)をこのほど視察した。1996年に、田端陽子会長と田端新也社長の2人が創業した。水産業界の既成概念を打ち破る流通改革に起業の価値を見いだし、既存の流通を無視した「市場外流通」にチャレンジした。漁業、養殖、加工、物流の各分野で協力会社・団体との良好で戦略的な互恵関係から生まれる付加価値の高い商品とサービスを提供し、圧倒的な差別化に成功している。2003年には創業7年目にもかかわらず、東京商工会議所が同年に始めた「勇気ある経営大賞」第1回受賞企業となっている。

  • 第133回  “お尻を洗う”文化を創造

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は衛生陶器を製造し、国内シェアトップの大企業に成長したTOTOの池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第132回  地域に根差した信用金庫

    民間金融機関には「メガバンク」「地方銀行」「信用金庫」そして「信用組合」などがある。それぞれ存在目的や使命が異なるが、信用金庫はメガバンクや地方銀行とは違い、地域密着で中小企業専門の金融機関である。戦後一貫して、右肩上がりに増大してきた信用金庫だったが、バブル崩壊以降、経済成長の著しい減速化や少子高齢社会の進行に伴う人口の減少、さらには開業の不足や廃業の多発、加えて言えば、メガバンクや地方銀行の中小企業分野への攻勢などもあり、多くの信用金庫はこの25年間、再編の嵐にさらされてきた。

  • 第131回  “大切な会社”47社勢ぞろい

    今回は「日本でいちばん大切にしたい会社大賞受賞企業の会」について紹介したい。9月9、10の両日に開催された、人を大切にする経営学会第4回全国大会の前日に開かれた。

  • 第130回  難局での一体感、成功の鍵

    若手経営者との夏季経営トップセミナーで、2016年10月に東証マザーズに上場したユーザベースの梅田優祐取締役CCO(チーフクリエイティブオフィサー)と対談した。起業から上場までの苦労話は起業する人や、成熟産業で悩んでいる若手の事業承継者に気づきの多い内容だった。

  • 第129回  ツムラ 漢方薬普及に尽力

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は医薬品の製造販売を行う、ツムラの池クジラぶりを見ていきたい。1893(明治26)年、津村重舎が故郷の奈良から上京し「良薬は必ず売れる!」との大志を抱き、母方の実家・藤村家に伝わる中将姫由来の薬『中将湯』を製造販売すべく、津村順天堂(現ツムラ)を創業した。1924年には、津村研究所(現ツムラ漢方生薬研究所)と薬草園を創設。74年には医療用漢方製剤29処方の販売を開始した。

  • 第128回  視覚障害者の働く場つくる

    全国には視覚障害のある人が約32万人いる。加えて言えば32万人の視覚障害者のうち、約7万人は身体障害や知的障害のある、いわゆる重複障害者である。

  • 第127回  女性活用、需要の変化つかむ

    ひな人形・五月人形を中心に日本人形の製造・販売を行う、ふらここ(東京都中央区)を取り上げる。 原英洋社長に日本人形の世界で、いかに若い女性の感性を取り込んでいったかを聞く機会があった。実家は祖父の代から始まる人形師の家系で、祖父は人間国宝の人形師、母は女流人形作家。原社長も人形師となるべく、両親が経営する会社で働き始めた。

  • 第126回  「働きがいある会社」づくり

    あるセミナーで、東レの日覚昭廣社長による講演「時流に迎合せず、時代に適応する」を聞いた。一番関心を持ったのは米国流株主資本主義に対する日本的経営の提唱だ。日覚氏は「公益資本主義」という言葉で表現した。会社は、第一に働く社員のためにある。次に顧客に価値を提供するためにある。次に地域社会への貢献、そして株主に貢献するという。

  • 第125回  求められる良い「理念」

    物事には全て「目的」と「手段」と「結果」がある。この3つの中で最も重要なのは、言うまでもなく「目的」である。というのは、目的が不純であれば、そのための手段も当然不純となってしまうからだ。不純な目的と手段で達成された結果が、世のため人のためになるはずがない。一時は市場をごまかせても、そうした経営はすぐにメッキが剥がれてしまうことは歴史が証明している。

  • 第124回  情報「丸見え」で社員育つ

    今回もメガネ・コンタクトレンズの専門店、21(トゥーワン、広島市佐伯区)を取り上げる。創業者の一人で相談役でもある平本清氏が、もともと勤めていた広島県内にあった他の眼鏡店を解雇された4人で同社を設立したことは前回、紹介した。会社を設立したものの経営者不在という問題があった。当時のメンバーは、いずれも眼鏡店の運営スタッフとして働いていただけで、会社経営に関わったことがなかった。

  • 第123回  社員たちへの最大限の誠意

    今回はメガネ・コンタクトレンズの専門店、21(トゥーワン、広島市佐伯区)を取り上げる。人を大切にする経営学会中国支部の設立総会が6月23日に開かれたのに合わせ、その前日に会員と企業視察に訪れ、創業者の一人で相談役でもある平本清氏から、話を聞いた。

  • 第122回  酒造りの「見える化」進める

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を維持している中堅企業を紹介している。今回は、純米大吟醸酒の「獺祭(だっさい)」を製造している旭酒造(山口県岩国市)の池クジラぶりを見ていく。

  • 第121回  非正規でもファミリーさん

    今回は北関東(茨城・栃木・群馬)と埼玉、千葉の各県を中心に、79店舗のファミリーレストラン事業を展開する坂東太郎(茨城県古河市)に焦点を当てる。同社は本連載でたびたび取り上げられているが、まだまだ紹介したい点は多くある。 飲食業ということもあり数多くのパート・アルバイトが働いているが、その呼び名に関して徹底されていることがある。それは「パート・アルバイト」という呼び方は一切しないことだ。当初は「私はパートだから…」という人が出てくることもあったという。

  • 第120回  入るを計りて出ずるを制す

    安倍晋三政権の経済運営に対する評価は、経済学者やエコノミストらの間で割れるが、筆者は肯定的だ。特に日銀の黒田東彦総裁が進める「大胆な金融政策」によって多くの中小企業は資金繰りの悩みが大幅に減った。株式市場も活性化し、日経平均株価は2万円を上回り、民主党政権時代に比べれば間違いなく良くなっている。

  • 第119回  飲酒運転ゼロへ高精度化

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中堅企業を紹介している。今回は業務用アルコールチェッカー、インターロック、IT点呼システムなどの開発・製造・販売を行う東海電子(静岡県富士市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第118回  “人財”不足解消のカギは…

    将来推計人口によれば、2015年に7700万人だった生産年齢人口(15~64歳)は、10年後の25年には7100万人となり、そして20年後の35年には6300万人となる。つまり20年後は生産活動に必要な人材が1400万人、率にして18%も減る。

  • 第117回  提供側目線で物事を見る

    政府は労働力人口が減少し続ける中で、長時間労働・残業など悪しき慣習が経済の足を引っ張り生産性低下の原因になっていると考え、働き方改革に積極的な動きを見せている。

  • 第116回  イノベーション成功の3条件

    ドラッカーの代表作に「イノベーションと企業家精神」がある。言わんとするところは、企業家が行うイノベーションが企業の永続的な発展につながり、社会変革をもたらす原動力であるということだ。デフレ経済環境にある今こそイノベーションが求められる時代ではないか。

  • 第115回  需要創造型の日本人形作り

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を維持している中堅企業を紹介している。今回は日本人形の製造販売を行う、ふらここ(東京都中央区)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第114回  ものづくり産業のモデル

    スズキ機工(千葉県松戸市)というものづくり企業がある。従業員数は16人ながら、オーダーメードの各種産業用自動機械や、ユニークな多数の自社ブランド商品を設計製作する独立企業である。

  • 第113回  大手チェーンも敵わない 函館市内最多を誇るハンバーガー店の経営戦略

    今回は、ハンバーガーショップチェーンを展開する有限会社ラッキーピエログループ(北海道函館市)を取り上げる。地域1番店主義を取り、地元密着を徹底して函館市内を中心に17店舗を出店している。同市内のハンバーガーチェーン店舗数は同社が最多。日本マクドナルドはじめ、大手チェーンは少数派となっている。

  • 第112回  働きがいのある会社づくり

    働く人々のワークライフバランスと生産性向上を目指す「働き方改革」が進む中で、調査リポート「働きがいのある会社ランキング」に注目している。もともと米調査会社Great Place To Work Institute(GPTW)が始め、日本でもGPTWジャパン(東京都品川区)が毎年結果を発表している。

  • 第111回  需要創造で絹織物の新天地

    JR福島駅から車で30分ほど走った山間の町である福島県川俣町に齊栄織物という社員数が十数人の中小企業がある。主な事業は社名の通り、絹織物の製造販売だ。織物には「先染織物」と「後染織物」があるが、同社が得意とするのは先染織物で、その加工は高度な技術を必要とする。川俣町は古くから絹織物の産地として栄え、大正時代には全国生産量の1割を占めていたが、その後、低価格の輸入品や化学繊維の台頭によって年々生産量が減少し、今や川俣地域にも数社が残るだけである。しかしながら、その中にあって元気な絹織物業がある。

  • 第110回  愛業至誠の思い、受け継ぐ

    「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の表彰式が21日に開かれた。同大賞は、企業が本当に大切にすべき5人の人たち、(1)従業員とその家族(2)外注先・仕入れ先(3)現在顧客・未来顧客(4)地域住民・地域社会(5)株主・関係機関-に対する使命と責任を果たし、人を大切にする経営に取り組む企業や団体から、特に優良な事例を表彰し、他の模範とすることを目的としている。2011年に創設され今回、第7回を迎えた。

  • 第109回  明太子製法公開で市場拡大

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している中堅企業を紹介している。今回は、明太子の製造・販売、各種食料品の卸・小売りのふくや(福岡市博多区)の池クジラぶりを見ていきたい。同社は1948年、韓国の釜山から引き揚げた川原俊夫氏が福岡で創業し、翌49年1月10日、日本で初めて韓国風明太子の製造・販売を開始した。ところが翌日、購入客から「辛すぎる」とクレームが入った。韓国の辛子文化は当時の日本人の口には合わなかったようだ。

  • 第108回  井から出よ、世界は広い

    東京都荒川区のJR西日暮里駅から徒歩で8分ほど行ったロードサイドの一角に、有限会社原田左官工業所(東京都文京区)の本社ビルがある。主な事業は社名の通り、タイル張りや防水工事、レンガ積み、壁塗り、ブロック工事などを行う左官業だ。今から約70年前の1949年、現社長である原田宗亮氏の祖父が創業し、その後、先代社長である父、そして現社長へとバトンタッチされてきた。

  • 第107回  顧客の「不」探し解決策提案

    東京商工会議所の中小企業顕彰制度「勇気ある経営大賞」がスタートした2003年の受賞企業を取材し、「『変える勇気』が会社を強くする」という本にまとめ、特に印象に残った3社の経営者から、その後の事業展開を聞いている。その一社、ダイワハイテックス(東京都板橋区)を先日訪れた。大石孝一社長は、1978年に脱サラし、大和包装機械を設立。書店向けにコミック本をビニール包装する機械「コミックシュリンカー」がヒットし、事業を軌道に乗せた。大型書店の全国出店が続いた時代の流れを見事につかみ、シェア90%という圧倒的な支持を得ている。

  • 第106回  高齢者は替え難い財産

    今回はパイプの加工・曲げ・切断・切削などを行うコーケン工業(静岡県磐田市)を取り上げる。一貫してパイプ製品に携わり、多品種少量・短納期で高品質な部品を提供するため、全工程を社内で一貫生産し、同業他社や大手ができない面倒で高度な加工に対応し、多くの顧客から高い評価を得ている。同社の特徴の一つが高齢者の積極活用だ。現在は10代から80代までと実に幅広い年代の社員がいて、さながら3世代家族のように働いている。しかも一般的な企業なら、定年退職を迎える60歳を超えた社員が全社員の36%を占め、80歳以上は8人というから驚きだ。ちなみに男性最高齢は88歳、女性は85歳という。

  • 第105回  地域社会に貢献する銭湯

    全国に銭湯と呼ばれる「一般公衆浴場」は、4300カ所、都内でも630カ所存在する。かつては、全国に2万カ所以上、都内にも3000カ所もあったが、近年では激減し、今やピークの4分の1である。この間の銭湯激減の最も大きな要因は3つある。第1は、今や90%をはるかに超える自家風呂の普及である。第2は、この間、ヘルスセンターや健康ランド、スポーツ施設、サウナ風呂、さらにはスーパー銭湯など他の公衆浴場の台頭・普及も大きい。事実、かつては、公衆浴場と言うと、ほぼ100%が銭湯だったが、今やその比率は18%程度まで低下している。

  • 第104回  「面倒くさい」を解決する

    自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中堅企業を紹介している。今回は印刷を中心に総合グラフィックスサービスを提供する水上印刷(東京都新宿区)の池クジラぶりを見ていく。

  • 第103回  「経営者に贈る5つの質問」

    大手銀行の支店が開いた取引先対象のセミナーで「変化の時代を乗り切る、出来る経営者の経営力」という講演をした。このテーマを選んだのは35年前、友人とともに起業した経営コンサルティング会社で経営者として学び、体験したことを整理しておきたかったからだ。

  • 第102回  女性活用、まず社風づくり 

    今回は特殊鋼、ステンレス、シリコロイの素材販売、加工販売を行う天彦(てんひこ)産業(大阪市住之江区)を取り上げる。男性社会の典型といわれる鉄鋼業界で女性社員が数多く活躍する異色の現場として高い注目が集まる。女性活躍推進への積極的取り組みが高く評価され、2008年には「子育てサポート企業」として厚生労働大臣が認定する「くるみんマーク」の取得。さらに経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選2013」にも選ばれた

  • 第101回  支援学校卒業生の受け皿に

    奈良駅から車で30分ほど走った田園風景の見える奈良市の郊外に、社会福祉法人「青葉仁会」の数多くの拠点がある。任意団体としての事業開始は1980年だが、社会福祉法人になったのは90年だ。設立の目的は就労を希望する障害者の自立支援。自立のためには「働く場・生活の場・楽しむ場」という3つの場が必要と考え、順次事業を拡大してきた。現在の事業は、レストラン、食品加工、木工、石けん製造、お茶やお米などの農業、民宿、生活支援など実に多彩である。

  • 第100回  苦境の中でも信念曲げず

    今回は、無添加せっけんなどの製造販売を行う、シャボン玉石けん(北九州市若松区)を取り上げる。先日、同社の森田隼人社長を取材し、工場を見学した。今でこそ無添加せっけんのパイオニアとして知る人ぞ知る企業となっているが、創業当時の主力製品は合成洗剤だった。先代社長の森田光德氏が1960年代後半に合成洗剤を製造販売し、売り上げも伸び続けていた。しかし、光德氏は合成洗剤によって、赤い湿疹に悩まされるようになった。

  • 第99回  時代の変化に対する決断力

    リオデジャネイロオリンピックの競泳女子200メートル平泳ぎで金メダルに輝いた金藤理絵選手が所属契約しているフットマーク。事業内容は学校水泳、体育用品、一般水泳用品、プール備品、遊具、介護用品などの企画・製造・販売で、国内の学童用水泳用品では高いシェアを持ちニッチトップの地位にある。同社を大きく成長させたのは、磯部成文会長だ。終戦後の1946年、戦地から帰った磯部会長の父親が始めたおむつカバーの製造・販売がスタート。磯部会長は大学卒業後、いずれ家業を継ぐため大阪・船場の問屋で3年間の修業を終え、実家に戻った。社員数人で、扱っていたおむつカバーは夏場には販売が鈍り、さらに紙おむつが市場に出回ると全く売れなくなった。

  • 第98回  理不尽発注断り独立企業に

    このため有名ブランド企業からの、“おいしい仕事”であっても断ることがよくあるという。全国各地の多くのバネ工場は、低単価発注や、大幅なコストダウンなど理不尽な取引を強要する企業との取引に、心身ともに疲れ果てている中、何ともうらやましい中小企業である。とはいえ、もともとこうした独立企業ではなかった。それどころか、上述した多くの町のバネ工場同様、下請けの悲哀を余儀なくされていた。

  • 第97回  本物にこだわり商品開発

     独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中堅企業を紹介している。今回は洋菓子の製造販売を行うケーキハウス・ツマガリ(兵庫県西宮市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第96回  地域を救う新商品開発

    今回は段ボール類をはじめ紙器加工品、包装資材や有田焼万華鏡の製造販売を行う「有限会社佐賀ダンボール商会」(佐賀県有田町)を取り上げる。先日、石川慶蔵社長を取材し、同社の有田焼万華鏡ショールームを視察した。1957年の創業以来、有田焼を入れる段ボール箱を中心に製造販売してきた。しかし安価な輸入食器の増加やライフスタイルの変化などで、有田焼の売上高は90年の158億円のピーク時から7分の1となっている。有田焼が低迷すれば、段ボールの需要も減り続ける。会社存続の危機に直面する中、石川社長は2004年当時、社員22人を雇用し続けるための新商品開発の道を探った。

  • 第95回  24時間、宅配ボックス管理

    アタックスグループが顧問をしている、日本宅配システム(名古屋市東区)の淺井泰夫会長と最近面談した。北海道から九州まで支店網を持ち、全国2万棟のマンションに宅配ボックスを設置・管理している。業界シェアは50%近い。 淺井会長は東京で一流商社に勤めていたが、23年前、親のビル賃貸事業を継ぐために名古屋へ戻った。その半年前から週末には名古屋で親を手伝い、賃貸マンション暮らしをしていたが、荷物の受け取りに大変な不便を感じた。事業を継ぐと同時に、その解決策として宅配ボックス市場のリサーチを始めた。

  • 第94回  障害児が日本一多い幼稚園

    小田急線柿生駅からタクシーで10分ほど走った川崎市麻生区の住宅街の一角に、柿の実学園が経営する「柿の実幼稚園」がある。敷地面積は広大で約1万平方メートル、園児はなんと1500人、先生も200人と、全国最大規模である。規模もさることながらが、特筆すべきは、多様な障害のある園児がなんと約200人も在園している点だ。ほかにもさまざまな理由で障害者手帳を持たない障害児が約100人と、合計では300人もいる。つまり、園児の20%、5人に1人は障害児である。障害児の在園している幼稚園は少なからずあるが、柿の実幼稚園こそ、間違いなく日本一の幼稚園である。

  • 第93回  皆が善くなる「皆善」活動

    今回は国産はちみつやはちみつ漬けなど、はちみつ製品を扱う長坂養蜂場(静岡県浜松市)を取り上げる。 先日同社を訪れ、長坂善人社長に話を聞いた。同社は、善人氏の祖父で創業者の喜平氏が、1935年に自身の体質の弱さを蜂蜜の栄養によって回復したのをきっかけに、他の人の健康も願って創業した。善人氏の父である光男氏が2代目、そして2013年に、善人氏が3代目社長に就任した。

  • 第92回  企業変革の8段階プロセス

    経営学者のドラッカーは「事業の目的について、正しい定義は顧客を創造することである」そして「顧客を創造するためにいかなる事業も2つの基本的機能・マーケティングとイノベーションを持つ」と言った。マーケティングは顧客の要求を探り出す事業全体に関わる重要な戦略的活動で「新製品や新サービスの開発のスタートラインはマーケティングだ」と断言した。

  • 第91回  障害者雇用で生産性向上

    栃木県真岡市に「有限会社真京精機」という中小企業がある。主事業はアルミ材の自動車部品や冷却部品の精密加工で、社員数約40人の規模だ。驚くべきは15人が障害のある社員、うち4人は重度障害者である。障害者雇用率は、重度障害者を雇用している場合にはダブルカウントをするため、同社の雇用率はなんと47.5%になる。現在わが国の常用雇用50人以上企業に課せられた「障害者法定雇用率」は、2.0%であるのに対し、現実は1.9%にすぎないことを考えると、法的義務のない社員数40人の会社が47.5%というのは傾注に値する。

  • 第90回  「ESなくしてCSなし」

    独自の「池(市場)」を見つけ、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中堅中小企業を紹介している。今回は介護福祉サービスのステラリンク(愛知県一宮市)の池クジラぶりをみていく。筒井健一郎社長は東レ入社後、訪問販売員やトラックドライバーなど多くの職業を経験した。1983年、35歳で物流会社を起業したが長時間労働による労働争議で、48歳の時、会社を去る。この反省から人を幸せにする経営、働きやすい職場づくりの重要性を心底理解した。

  • 第89回  「出るくぎは伸ばす」

    人を大切にする経営学会の第3回全国大会(8月26、27日)の前日、模範企業を視察した。今回は筆者も同行した武蔵境自動車教習所(東京都武蔵野市)を紹介する。東京指定自動車教習所協会によると都下のJR中央線・西武新宿線沿線で年間利用者数が18年連続ナンバーワンと評価が高く、利用者数は近隣3校の教習所の合計を上回る。

  • 第88回  リーダーに求められる真摯さ

    東レ経営研究所の佐々木常夫元社長による講演会「これからの時代の経営とリーダーシップ」を聞く機会に恵まれた。その非常に濃い内容を基にリーダーシップについて述べたい。筆者はリーダー像、リーダーシップのあり方を、本や経験から次のように考える。リーダーシップはリーダーとフォロワーの関係性の中で発揮される。キーワードは信頼だ。リーダーは集団のために献身的に尽くさなければならない。フォロワーは集団のため全力を尽くすリーダーを信頼し、喜んで従う。

  • 第87回  人が集う「ごちゃまぜ」の街

    金沢市郊外に「シェア金沢」という地域がある。一言で言えばさまざまな人々が一緒に暮らす、いわば「ごちゃまぜ」の街である。高齢者や障害者、大学生ら多様な人々がいる。その事業主体は「社会福祉法人佛子圓」。ルーツは宗教法人行善寺だ。初代理事長の行善寺元住職は、貧困で寺に預けられ、幼少期に育てられるとともに悲惨な戦争体験もした。そうした事情もあり自身が住職だった寺で、既に1960(昭和35)年頃から戦争孤児や身寄りのない障害児を引き取って世話をするという、まさに駆け込み寺の使命を果たす立派な住職だった。

  • 第86回  独自のめっき技術で市場開拓

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中堅中小企業を紹介している。今回は表面処理や各種電気めっき、化成皮膜処理などのめっき加工で高いシェアを獲得している、清川メッキ工業(福井市)の池クジラぶりを見ていきたい。現会長の清川忠氏は電話帳で福井市内の企業数の一番少ない業種がめっき業だと知り、3年間めっき工場で修業した後、1963年3月に夫婦2人で創業した。当初は自動車関係の再生部品や、オートバイの車輪を支えるリムのめっきを主に手掛け、70年代半ばにはバイクのホイールとリムの加工で国内シェア70%をとった。

  • 第85回  現場に行くことが解決の道

    今回は、高齢者や障害者向けのケアシューズ・リハビリシューズなどを製造販売する徳武産業(香川県さぬき市)を取り上げる。この連載の中でも、各筆者から何度か紹介されているが、同社を訪問し、昨年、会長になった十河孝男氏から話を聞き、改めて気づかされたことがあった。同社は、今でこそ、足に何らかの不自由を抱える高齢者・障害者向けのケアシューズメーカーとして知られているが、もともとは手袋やトラベルスリッパを製造する会社だった。そんな同社が、ケアシューズ製造に取り組むきっかけとなったのは、現場を目の当たりにしたためだったという。

  • 第84回  経営は働く人のためにある

    ロータリークラブ(RC)会長だった筆者は4月、仲間とともに「人を大切にする日本的経営」の模範である伊那食品工業(長野県伊那市)を訪れた。「経営は働く人々の幸せのためにある」という哲学を塚越寛会長からじかに聞くためだ。5月25日付の本コラムで取り上げたが、紹介できなかった大事なことを伝えたい。塚越会長に「人を大切にする経営を心掛けたきっかけは」とたずねると「苦しい時代に出光佐三の書いた『働く人の資本主義』を読んで感銘を受け、佐三のような理念を持ち経営したいと思った」と答えた。

  • 第83回  専門職人重視の戦略実践

    東京・日本橋に「ふらここ」という中小企業がある。主な事業はひな人形・五月人形の製造販売、社員数は約20人。設立は8年前の2008年、原美洋社長が自宅の一室でスタートした会社だ。同業界は近年は少子化や核家族化・生活様式の変化などで、衰退傾向が著しい。厳しい環境下であえて創業したが、業績は創業から今日まで右肩上がり。なぜ衰退産業といわれながら、一貫して成長発展してきたのか。その要因は多々あるが3点に絞って述べる。

  • 第82回  葬祭業を普通のサービス業に

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中堅・中小企業を紹介している。今回は仙台市とその周辺で、20カ所の葬祭会館を展開する、清月記(仙台市宮城野区)の“池クジラ”ぶりを見ていきたい。

  • 第81回  「人を大切に」が日本を創生

    今回は、27、28日に東京都世田谷区にある駒澤大学深沢キャンパスで開催される、「人を大切にする経営学会」の第3回全国大会の内容の一部を紹介する。  昨年9月12日、13日に開催した第2回全国大会は「『人を大切にする経営』は企業業績を高めるか」を統一テーマに議論が行われた。 今回の統一テーマは「『人を大切にする経営』が日本を創生する」とした。それは、イギリスの欧州連合(EU)離脱や、世界各地で頻発している無差別テロ問題など、世界経済はもとより、わが国経済の先行きもなお一層、不確実・不安定化する中、どんなに時代が厳しくとも、わが国の企業一社一社が、「人を大切にする経営」を愚直一途に実践することが、新しい日本ばかりか、世界の創生・世界の人々の幸せの実現の要と考えるからだ。

  • 第80回  顧客創造にSNS積極活用を

    SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で顧客企業のマーケティング活動を支援する、アライドアーキテクツの中村壮秀社長と対談形式のセミナーを開いた。中村社長は住友商事を経て、ゴルフダイジェスト・オンラインの創業メンバーとなるが、2005年に退職し、東京・恵比寿のマンションの一室でアライドアーキテクツを創業した。ホームページで「いつか個人の発信が情報流通の中心になるのではないか。今、企業のマーケティングは劇的な構造変化の時代を迎えている。21世紀は生活者が中心の時代となる」と当時の思いを述べている。創業8年目の13年に東証マザーズに上場、SNSマーケティング事業のリーディングカンパニーとなった。ミッションは「ソーシャルテクノロジーで世界中の人と企業をつなぐ」。この概念を、05年の創業時に着想した中村社長の先見力に脱帽した。しかし上場後、経営環境変化によって、事業は大苦戦に陥った。冷静に分析して反転ロジックを考え、現在は新たな方針・戦略でV字回復中だという。

  • 第79回  老舗が作る高級ビニール傘

    JR上野駅(東京都台東区)から車で6分ほど走った裏通りの一角に、看板がなければ通り過ぎてしまいそうな小さな企業がある。ホワイトローズ(同)の本社だ。4坪(約13平方メートル)くらいの事務所に入ると、あらゆる場所に多種多様な雨傘が吊(つ)り下げられている。正社員3人、パート6人の規模ながら、同社こそ世界で初めてビニール傘を開発した企業だ。創業は今から約300年前の1723年、須藤宰社長は10代目の当主である。

  • 第78回  「地産地消の味」で希少価値

    独自の「池(市場)」を見つけ出して、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となり高収益を獲得・維持している企業を紹介している。今回は静岡市を中心に14店の和食レストランを展開する、なすび(静岡市清水区)の池クジラぶりを見ていきたい。同社は1975年8月、藤田圭亮社長の父親が清水市(現・清水区)で17坪(約56平方メートル)、25席の小さな飲食店を開店したのが始まり。外食産業の厳しさをよく知る先代は、一代限りで終えるつもりでいたが、息子の圭亮氏が大手企業を3年で辞め、98年に父の反対を押し切って入社した。

  • 第77回  「愛」と「絆」創る結婚式提案

    仙台市内とその周辺地域、石巻市で葬祭会館20カ所と仏壇ギャラリー4店舗のほか、ケータリングサービス、コンシェルジュサービス、予約制ハイヤー事業を運営・展開する清月記(仙台市宮城野区)が5月1日、新事業としてブライダル事業を開始した。「冠婚葬祭」というように婚(結婚式)と葬(葬儀)は、人生に関する催事の代表だが、なぜ新規事業を開始したのか。

  • 第76回  全員参加型で難局克服

    トヨタ自動車は4月にカンパニー制に移行した。豊田章男社長は就任直後、北米で必ずしもトヨタの責任とは言い切れない重大クレームに遭遇し、米国議会公聴会での喚問など経験を積んだ。今では経営に自信を深め、長期視点でかじ取りを行っている。カンパニー制も長期戦略の一つで、その目的を(1)経営の意思決定のスピードアップ(2)将来経営を担う人材を鍛える場づくりとしている。自動車業界では独フォルクスワーゲンの排ガス偽装、三菱自動車の燃費偽装が起きている。豊田社長は「もっといい車をつくろう」と分かりやすい方針を打ち出したが、万全な経営を期待したい。もしトヨタに不測の事態が生じれば、日本経済はリーマン・ショック以上の大混乱に陥ると思う。

  • 第75回  適正利益率とは

     都内の中小企業経営者であるA氏から、実現すべき「利益率」に関する質問を受けた。質問は「当社の売上高対経常利益率は20%で推移しています。しかし、上には上があるもので、過去10年以上それが50%を超えている企業も少なからずあり、当社も今後は50%はともかく、30%程度を目標に利益計画を立てるべきでしょうか…」といった内容だった。筆者は、その質問に次のように回答した。「社長さん、世の中には、自然なこと・不自然なこと、また常識的なこと・非常識的なことがあります。このことは実現すべき利益率でも同様です。赤字も困りますが、とはいえ利益率は高ければ高いほど良いというものでもないと思います」と話をした。

  • 第74回  個人商店の包装資材を企画

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を持続している中堅中小企業を紹介している。今回は「幸せ制作会社」を社是に包装資材の企画制作販売や提案型売り場づくりを支援するヘッズ(大阪市阿倍野区)の池クジラぶりを見ていきたい。暮松邦一社長がファンシー雑貨店の店長だったある日、女の子が友達に贈る文房具を買いにきた。翌日、母親へのエプロン、その数日

  • 第73回  震災被害も解雇ゼロで復活 アタックス研究員・坂本洋介

    4月14、16日と2回も震度7の強い揺れに襲われた熊本地震の影響はまだまだ残っている。被災された方に、心よりのお見舞いを申し上げます。今回紹介する阿部長商店(宮城県気仙沼市)も2011年の東日本大震災で未曽有の被害を受けた。しかし、現在は見事復活を果たし、その姿は多くの被災企業を勇気づけている。

  • 第72回  さらば価格競争

    企業の競争力には、価格競争と非価格競争の2つがある。価格競争とは「価格の安さ」や「他社より安い…」ことをセールスポイントとした経営を意味する。一方、非価格競争とは価格の安さではない価値、具体的には「商品力」「ブランド力」「サービス力」「技術力・開発力」「オンリーワン力」「社員力」さらには「ビジネスモデル力」といったことをセールスポイントとした経営である。

  • 第71回  事業「真の目的」は何か

    伊那食品工業(長野県伊那市)を先月、訪れた。1958年に設立された業務用・家庭用寒天の製造販売を手掛ける。業務用では国内シェア80%。家庭用は「かんてんぱぱ」のブランドで通信販売に加え、北海道から九州まで13カ所の事業所に併設された、かんてんぱぱショップで、多くのファンに直接販売している。

  • 第70回  独自豚の直売でファン拡大

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を上げている中堅中小企業を紹介している。今回は、種豚育成からハム・ソーセージなどの食品販売まで、完全一貫経営を行う埼玉種畜牧場サイボクハム(埼玉県日高市)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第69回  おもてなし以上のものを

    今回は「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の実行委員会特別賞を受賞した、巣鴨信用金庫の取り組みを紹介したい。

  • 第68回  高機能木炭で倒産危機脱出

    島根県出雲市に「出雲土建」という中小企業がある。主な事業は建設工事や土木事業、さらに緑化事業やリサイクル事業も手掛けている。設立は1980年。もともと土木建設会社としてのスタートだったが、その後、事業の多角化と規模の拡大を志向した。

  • 第67回  変化をチャンスに!

    大手銀行系シンクタンク主催の経営トップセミナーで、早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授による「ゲーム・チェンジャーの競争戦略」という講演を聞く機会があった。世の中が変化して、企業の市場における闘い方も変わっている。こうした環境で新規市場に参入する企業を「ゲーム・チェンジャー」と表現し、その市場創造・市場参入を4つに分けて解説した。「製品・サービス」と「もうけの仕組み」についてそれぞれ「既存」と「新規」がある。既存の製品・サービスと既存のもうけの仕組みの分野では、ゲーム・チェンジャーの闘い方はプロセス改革型。代表例はセブン-イレブン・ジャパンの「セブンカフェ」で、客はできたてのコーヒーを1杯100円で買い、セルフサービスのためセブン側は手間がかからない。

  • 第66回  超精密部品でブランド確立

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を上げている中堅中小企業を紹介している。今回は超精密金型の設計・製造・販売を行う大垣精工(岐阜県大垣市)の池クジラぶりを見ていく。1968年、創業者の上田勝弘社長が脱サラし、電子部品の金型生産で創業。現在は従業員220人を超える全国有数の金型企業に成長している。

  • 第65回  誤解を逆手にとり大ヒット

    和洋菓子製造販売の春華堂(浜松市中区)の看板商品「うなぎパイ」の誕生までについて3月に取り上げた。今回はその後の大ヒットにつなげた、同社トップの戦略を紹介したい。

  • 第64回  地域雇用守るため自社買収

    HITOYOSHI(熊本県人吉市)という高級ドレスシャツの生産・販売を行う中小企業がある。製品の90%は国内外のブランドメーカーに対するOEM(相手先ブランドによる生産)。残りは自社ブランドで、高級百貨店で販売している。社員数は110人。100人は本社工場、10人は東京支店(東京・南青山)に勤めている。

  • 第63回  「期待効果」で新人伸ばす

    少子高齢化が日本経済にボディーブローのようにじわじわときき、政府も少子化対策に本腰を入れている。求人難は経営者の最大の悩みの一つ。多くの経営者が新卒採用のために事務所の建て替えやリニューアル、移転を考え、ホームページも求人を意識した内容に作り替えたりしている。勤務条件・給与水準も見直し、就職を希望する学生に魅力を感じてもらえるよう、あらゆる努力をしているといっても過言ではない。採用の企業間競争は激しくなっている。  

  • 第62回  「うなぎパイ」誕生の秘話

    今回は和洋菓子製造販売の春華堂(浜松市中区)を紹介する。1887年の創業以来、数々の菓子を作り続けてきたが、特に1961年に発売した「うなぎパイ」は日本を代表する土産菓子にまで成長した。いかにして、この大ヒット商品が生まれたのか。その誕生の話を聞いた。

  • 第61回  振動技術を多方面に展開

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を上げている中堅中小企業を紹介している。今回は「振動計なら昭和測器」と言われるほど高い技術力を誇る専門メーカー、昭和測器(東京都千代田区)の池クジラぶりを見ていく。

  • 第60回  高い地域支持率持つ小売店

    大手総合スーパーですら出店より退店が増えている近年、退店はほとんどないばかりか業績も長期間、快進撃を続けるスーパーマーケットがマルトグループ(福島県いわき市)だ。食品スーパーを核にドラッグストアや衣料品店、酒小売店などを展開する小売業である。

  • 第59回  人口減少時代の「人財育成」

    1カ月ほど前、ある私立大学の教授から「今、大学はどうなっているのか」という話を聞く機会があった。中卒から大卒まで新社会人になる人数は、大卒が一番多い。大学に入りたければ誰もが入学できる。偏差値の高い上位校を別にすれば入試形態も多様化し、受験勉強なし(AO入試)で入学する学生も多いようで基礎学力と学習意識の低下は著しい。教員も昇進基準が研究業績に偏り、教育や管理運営に頑張るインセンティブはわかない。ざっとこんな大学の現状を話してくれた。

  • 第58回  精神障害者と社会「つなぐ」

     今回は「精神医療福祉の経験と出版の技能を生かして、地域に、愛され役立つ会社作りを目指します」を理念に掲げる、ラグーナ出版(鹿児島市)を紹介する。鹿児島市の精神科病院で精神保健福祉士だった川畑善博社長と精神科医の森越まや会長が中心となり精神障害体験者、医師、精神科ソーシャルワーカー(PSW)、看護師が集まって企画、編集した文芸誌『シナプスの笑い』創刊を機に、NPO法人「精神をつなぐ・ラグーナ」を2006年に設立。これが事業を始めるきっかけになった。

  • 第57回  超音波技術を核に市場開拓

     独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を続ける中小企業を紹介している。今回は世界初のトランジスタ・ポータブル魚群探知機の開発に始まり、その後も超音波技術を核に応用機器を製造販売している本多電子(愛知県豊橋市)の“池クジラ”ぶりを見ていく。

  • 第56回  顧客、従業員とも高い満足度

    大阪・心斎橋にあるフレンチレストラン「ル・クロ」。オーナーシェフの黒岩功さんが本場フランスや国内の一流料理店で修業し、2000年に地下鉄御堂筋線心斎橋駅近くの飲み屋街の奥まった空き店舗を改造し、奥さんと2人で始めた。

  • 第55回  値決め決定権で景気変動超越

    筆者が会長を務める名古屋市内のロータリークラブ(RC)で、職業奉仕活動の一環として坂本光司・法政大学大学院教授による「景気超越型企業に学ぶ経営戦略」という講演会を開催した。坂本教授は中小企業経営研究の第一人者で、ほかのRCにも声を掛けたところ220人が参加し、大盛況となった。

  • 第54回  100年繁栄する会社、実現へ

    「お客さまには最高の満足と信頼を、社員には未来への夢と希望を、そして、新日本製薬グループは社会に貢献できる企業として限りなく幅広い発展をめざします」を経営理念に、1992年に設立した。

  • 第53回  一流調理人が認める茶そば

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中小企業を紹介している。今回は日本一の茶の産地、静岡県にあって茶そばにこだわる麺類製造・卸、池島フーズ(浜松市浜北区)の池クジラぶりを見ていきたい。

  • 第52回  研究開発重視で業績向上

    かつて、わが国の3大ものづくり地域といわれた静岡県浜松地域の衰退が著しく進行している。工業統計によると20年前、浜松市には4200カ所もの工場があったが、直近では2100カ所と半減している。

  • 第51回  選択と集中で競争力伸ばす

    中国の華南地区に進出した大手OA機器メーカーを最近、視察した。工場責任者は「十数年前に進出したときは何もなかったが、現在は大都会の市街地。隣に高層マンションが建設され、もう工場地域ではなくなった」「労務費も年々上昇しベトナム、フィリピンに比べると3倍違う」という。現地の実情を知ると海外進出した日本企業の次のグローバル戦略、チャイナプラスワンの必要性を実感する。グローバル経済に勝ち残るには材料費、労務費、土地代などが安い地域で生産し、需要の多い地域で販売する適地生産・適地販売が鉄則だ。視察した企業も既にベトナム、フィリピンの新工場で生産を始めている。

  • 第50回  「想いを伝える」会葬礼状

    今回は11月25、26日にかけて、この連載の筆者でもある法政大学大学院の坂本光司教授とアタックスが中心となって立ち上げた異業種交流会「神田経営者クラブ」の特別研究視察会で訪問したマコセエージェンシー(鹿児島市)を紹介する。「想いを伝える」を経営理念に1988年に設立。鹿児島の本社のほか、東京、大阪、名古屋、熊本に事務所を構える、従業員130人弱の企業。主な事業として総合広告代理店、オリジナル会葬礼状の作成・会葬パネルの作成などを行っている。

  • 第49回  卓球の競技人口拡大へ投資

     独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中小企業を紹介している。15回目の今回は「BUTTERFLY(バタフライ)」ブランドで知られる、世界有数の卓球用品総合メーカー、タマス(東京都杉並区)を見ていきたい。2013年時点で日本卓球協会(JTTA)に登録している競技者は約32万人で、35年前に比べて約6倍に増えた。ただ世界的には競技人口が多いものの、国内では依然マイナーなスポーツと言わざるを得ない。

  • 第48回  スタッフ大切にする美容室

    札幌駅から車で10分ほどの住宅街の一角に「うやまビューティーサロン」という美容室がある。本店の他市内に3店舗と北海道神宮内結婚式場の美容室を預かる。同神宮での美容室運営は北海道中の美容室の憧れだが、神宮からの指名で決して規模が大きくない同店が一手に引き受けているからすごい。その理由は、同店の経営母体であるウヤマ(札幌市北区)の創業者、宇山照江氏が愚直一途に美容室を経営してきたからといっても過言ではない。

  • 第47回  「感動分岐点」顧客増やす鍵

    「感動分岐点」という言葉を、はままつフラワーパーク(浜松市西区)を運営する浜松市花みどり振興財団の塚本こなみ理事長の講演で知った。経営にも損益分岐点があるように、サービスにも顧客に「この程度でないと感動しない」と思ってもらう、分岐点があるという。はままつフラワーパークは、市制施行60周年事業の一環として1970年9月10日に開園した植物園。全国に104カ所ある国公立植物園と同様に赤字経営が続き、“感動”という意識は薄い部分があった。特にここ十数年は、2005年に「浜名湖花博」の跡地に開園した「浜名湖ガーデンパーク」が入園料と駐車料金を無料にしたこともあって客足が遠のき、12年の市の負担は100億円を超え、閉園の危機にさらされた。

  • 第46回  環境変化好機に顧客創造

    東京モーターショー2015を10月末に視察した。燃料電池車(FCV)や自動運転といった最新技術を盛り込んだ車が多く「環境と安全」を前面に打ち出していた。自動車産業は環境と安全を切り口とした開発競争が一層激化するだろう。ところで企業は環境適応業といわれる。絶えず変化する経営環境に合わせて顧客を創造することが環境適応だ。そのためには企業はマーケティングとイノベーションという2つの基本的機能を磨かなければならない。

  • 第45回  馬路村の挑戦 ゆずビジネス

    高知県南国市の高知龍馬空港から、車でくねくねした山間の道路を1時間半ほど走った中山間地に、馬路村という人口941人の小さな村がある。村の面積の96%は森林、2%は河川、田畑や宅地の可住地面積はわずか2%弱である。1955年代の高度経済成長期には村人は3000人いたが、基幹産業の林業の衰退と工業化社会、その後のソフト・サービス化社会への移行に伴い、年々人口は加速度的に減少し、今やなんと941人である。より深刻なのは、その高齢化率で、村人の40%は65歳以上の高齢者となった。このままでは故郷が消滅すると危機意識を抱いた村の関係者が、今からおよそ45年前に立ち上がった。その中心は馬路村農協の職員たちだった。

  • 第44回  小よく大を制する

    独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中小企業を紹介している。連載14回目は、次々と新製品を開発する建築用電設資材メーカー、未来工業(岐阜県輪之内町)の池クジラぶりを見ていきたい。1965年に創業し、日立製作所、パナソニックなど大手が支配していた電設資材市場に挑み、見事に独自の「池」を築き上げた。建設現場で働く職人のもとに足を運びニーズを集め、仕事ぶりに着眼した結果、商品が生まれた。内装工事の前後に仕事をする電気工事職人は、スイッチなどの裏側に埋め込むスイッチボックスの位置で悩む。壁紙に隠れてしまうからだ。同社の薄い金属を張ったスイッチボックスは、磁石で探せばすぐ場所が分かる。このため国内シェアは約7割に達し「家の壁の裏側に設置する電設資材」という小さな“池”で、圧倒的な“クジラ”になった。

  • 第43回  人を大切にすれば業績向上

    今回は、9月12、13日に電気通信大学(東京都調布市)で開催された「人を大切にする経営学会」の第2回全国大会について紹介する。昨年9月の学会設立総会は、お披露目的な意味合いが強く研究発表会などはなかった。今回初めて学会形式に沿った大会となった。統一テーマは「人を大切にする経営は企業業績を高めるか」。人を大切にする経営が行われているから業績が高いのか、逆に業績が高いから人を大切にする経営ができるのか。議論が分かれるテーマだが、基調講演、パネルディスカッション、分科会、研究発表会を聞いた限り、間違いなく前者が正しいのは疑う余地がないようだ。12日のケーズホールディングスの加藤修一会長兼最高経営責任者(CEO)の基調講演でも同社が実践する「がんばらない経営」をテーマに、ユーモアを交えながら社員が働きやすい職場をつくることが、いかに業績を高めるかを語ってくれた。

  • 第42回  「社員の幸せ」一番に考える

    東京商工会議所の「勇気ある経営大賞」第1回受賞企業の一つ、生活の木(東京都渋谷区)は、世界50カ国以上から原料を調達し、さまざまなハーブ・アロマテラピー製品を企画、開発、製造、販売している。先月中ころ、面談した重永忠社長は、経営にますます自信を深めていると実感した。重永社長に聴いた内容から、企業経営を考えてみたい。1つ目は、毎年9月1日(同社は8月決算)の経営方針発表会。前期の報告と優秀店舗・個人の表彰、新年度の方針を説明する。全社員に配る経営方針書は、重永社長が最も重要な方針(ビジョン)に関わる部分を作成。部門レベルは、150部門から年度計画と収支計画が上がってくる。同社に「ノルマ」という言葉はない。重永社長はトップとして会社が向かうべきビジョンは示すが、具体的な展開は部門に委ねている。

  • 第41回  第6次産業が空洞化を救う

    ものづくりや商業の企業数が年々減少する中、第2次産業と第3次産業の機能を保有する第6次産業(ビジネス農業体)の数は、右肩上がりに増えている。

  • 第40回  事業環境活用し市場を要塞化

    独自の「池(市場)」の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得・維持している中小企業を紹介している。13回目は21期連続黒字のレーザー機器専門商社、日本レーザー(JLC、東京都新宿区)を取り上げる。世界中から最先端の製品・システムを輸入し、顧客が抱える問題を解決。光関連機器に特化し、産業と理科学という2分野の購買代理店市場を築いた。親会社だった日本電子のレーザー関連事業を支えるため、1968年に設立。二十数年間、社長は天下りで、社員は不信感を募らせ、業績は低迷、債務超過に追い込まれた。

  • 第39回  社員満足追求した企業改革

    ナットを中心にファインパーツ(価値の高い製品)の製造・販売を行う西精工(徳島市)。今でこそ、日本でいちばん大切にしたい会社大賞などを受賞しているが、西泰宏社長が入社した当時は全く違っていた。後を継ぐはずだったいとこが急逝し、後継者として戻ってほしいと、1998年に呼び戻された。西氏が感じた会社や社員の雰囲気は「とにかく暗い」。社員はあいさつもせず始業時間ぎりぎりに出社して、楽しくなさそうに仕事する。製品が工場内に落ちていても、誰一人、気にすることもない。製品が床に落ちても拾わないのは、自分たちの現場や作っているものに、こだわりがないように感じた。その疑問を社内に「問題ではないか」と言ってみたが、創業以来一度も赤字がない現状に浸りきった社員は誰も取り合わない。

  • 第38回  お困り事解決で市場開拓

    名証セントレックスに昨年上場した日本PCサービスの家喜信行社長と「トップセールスから“上場企業経営者”となるまでの成功秘話」という対談を行った。個人宅のパソコンのトラブル解決を手掛け、ホームネットワーク事業にも進出した。この事例から成功法則を考える。2001年の創業以前、家喜社長はパソコンソフト販売の営業マンで、成績は常にトップだったが方針の違いから退社した。当時、顧客からネットワーク接続や他社製品の修理を頼まれたが、自社製品の販売があり、要望に応えられなかった。この経験から事業を始めた。  

  • 第37回  外注先を思いやる上場企業

    新潟市南区にダイニチ工業がある。社員数は約500人の東証1部上場企業だ。主な事業は石油ファンヒーターや加湿器の製造で、ともに業界ではトップブランドである。中小企業の専門家である筆者が、なぜ同社を取り上げたかというと、大企業・上場企業でありながら、業績志向・自利志向の経営ではなく、幸せ志向・利他志向の経営を1964年の設立以来、愚直一途に実践している、いい企業だからだ。周知のように、わが国の自動車メーカーをはじめ大半の大企業生産システムは無倉庫・無在庫経営、「必要な商品を必要な数だけ必要な時に」、つまりジャストインタイム経営である。

  • 第36回  立場変えると答えは見える

    企業は、顧客が喜んで自社の商品・製品・サービスにお金を支払ってくれる関係を構築することを目的としている。そうした関係を構築できれば、企業は長期的に安定した利益をあげることができ、永続していくことが可能になるのである。 ではどうすれば、顧客とそのような関係を構築できるのかだが、今回は事例を紹介しながら、具体的な方法を見ていくことにする。大阪にあるラッピング用資材を企画制作するA社は、現在社長を務めるB氏の前職での疑問が転機となって、1985年に創業した。

  • 第35回  選択と集中で差別化を

    富士重工業の吉永康之社長による「個性を活かして生きる」という講演を聞いた。前身は零戦を製造していた中島飛行機で戦後解体されたが、1953年に富士重工業を設立、55年に現在の形となった。2014年度は生産台数91万台、売上高2兆8779億円、営業利益4230億円、営業利益率14.7%と絶好調だ。富士重工業は「選択と集中による差別化」で成功した。吉永社長は改革に当たって社史を読み直し、飛行機製造の「安全」へのこだわりと高い技術に根差した運転の「愉しさ」を訴求して、「選択と集中」を実行する戦略をとった。徹底するため「安心と愉しさ」を掲げ、社員の耳にタコができるほど絶えず言い続けているという。

  • 第34回  伝統のスズ食器直販で人気

     独自の「池(市場)」を見つけ、池の「クジラ(圧的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を実現した中小企業を紹介している。12回目は「曲がる器」や「富士山の杯」など100%スズ製のテーブルウエアで話題の鋳物メーカー、能作(富山県高岡市)の池クジラぶりをみたい。4代目の能作克治社長は大阪芸術大学を卒業後、新聞社の写真記者を経て、1984年、義父が経営する能作に入社した。400年伝わる鋳造技術をベースに青銅・真鍮(しんちゅう)製品を問屋に卸していたが、能作社長は最終商品の形も販売先も消費者のニーズも知らなかった。下請けに満足せず「製品の評価を直接ユーザーから仰ぎたい」という、業界では全く非常識な熱い思いを募らせた。飛躍のきっかけは高岡市が開いた企業とデザイナーとの交流会だった。品質・デザイン・技法のレベルの高さに驚いたデザイナーから「原宿で作品展を開催しないか」と誘われた。そして販路を持つデザイナーが新たな販売チャンネルになることに気づいた。  

  • 第33回  3K・5K現場変えた改革

    松江市に長岡塗装店という建物や塀などへの塗装を専門とする中小企業がある。塗装業界は一般的に「3K」(きつい、汚い、危険)とか「5K」(3Kと臭い、暗い)職場などといわれ、若者や女性の入職不足や、高い離職率、さらには従業員の高齢化、その結果としての従業員のモチベーション低下に悩んでいる企業が多い。こうした業界にあって、見事に問題をクリアし、成長発展している企業が、今回取り上げた長岡塗装店である。

  • 第32回  子供に親の働く姿を見せる

    視察を受け入れる企業が数多くある。目的は商品・技術のPR、新たな顧客獲得・販路開拓、地域社会・地域住民への社会貢献-とさまざま。なかでも社員の家族向けに視察会を開く企業が増えてきているようだ。先日、訪れた長野県の会社も「家族交流会・会社参観日」を行っていた。もともと2003年から毎年1回、全社員が家族に感謝の気持ちを込めてお礼をする「家族交流会」を開いていた。さらに発展させて13年に始めたのが「会社参観日」だ。同社は製造業で祝日が稼働日になることがよくあり、社員は家族サービスを犠牲にしなければならない。そこで参観日は、社員の子供だけでなく、親にも働いている姿を見てもらおうという趣旨で始まった。

  • 第31回  障害児も分け隔てなく保育

    少子化の影響をもろに受け、大都市圏・地方圏を問わず、幼稚園の経営は年々厳しくなっている。事実、1992年当時、1万4801園であった幼稚園数が、2013年では1万3043園となっている。この20年間で約1800園、率にして12%もの幼稚園が閉鎖されている。こうしたなか、全国の関係者から注目されている幼稚園がある。その名は池谷学園富士見幼稚園(横浜市港北区)。東急東横線綱島駅から徒歩3分ほど行った商店や事務所・住宅が林立する街中にある。その規模は年少・年中・年長児あわせ180人強、スタッフの数も園長以下、保育者・事務職員などで約15人という小さな幼稚園だ。

  • 第30回  わが社は何屋さんなのか

     ハーバードビジネススクールで、マーケティングを教えたセオドア・レビットは1960年、ハーバードビジネスレビューに「会社が自らの事業を正しく定義しないと成長企業といえども衰退する」という主旨の非常に示唆に富んだ論文「マーケティング近視眼」を書き、衰退の例に鉄道会社を挙げた。鉄道網は北米大陸全体に敷設され大変繁盛したが、交通の主役を自動車や航空機に奪われた。レビットは「鉄道会社が危機に見舞われているのは、旅客・貨物の輸送が鉄道以外の手段に奪われたからではなく、会社自身が顧客の需要を満たすことを放棄したからだ。鉄道会社は自らの事業を輸送ではなく、鉄道と考えてしまったために自分で顧客を他へ追いやってしまった」と述べた。

  • 第29回  利益追求の末に日本一

    人を大切にする経営学会が主催する「第3回人を大切にする企業現地研究会」が6月24日に行われ、岐阜県の未来工業とLFC(本巣市)の2社を訪問した。いずれも「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で、未来工業は第1回経済産業大臣賞、LFCは第4回実行委員長賞を受賞した企業だ。特に未来工業に興味があった。カリスマ経営者だった山田昭男氏が2014年に亡くなり、新社長となった長男、雅裕氏のもとでの経営を知りたかった。目を閉じて雅裕氏の話を聞けば、昭男氏の話かと錯覚するほどブレがなかった。

  • 第28回  超短納期で高収益を生む

     独自に見つけ出した「池(市場)」の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となって高収益を獲得した企業を紹介している。11回目は「コレットチャックの町工場」としてジャスダック上場も果たした、エーワン精密を見ていきたい。1965年、東京都府中市で梅原勝彦・現取締役相談役が創業した。幼少時に父親の会社が倒産し、一家離散の苦汁をなめた。12歳から住み込みのでっち奉公としてねじ工場で働き、16歳で夜間中学に入った苦労人だ。製造業の基本である「QCD」すなわち、(1)高品質(2)低コスト(3)短納期-のうち、高品質は当たり前、低コストは実現しても価格で差別化するわけにはいかない。従って短納期に強いこだわりを持った。原則、午後3時までに受注したうち、7割はその日に仕上げ、「当日発送」する。この超短納期こそが提供価値である。

  • 第27回  障害者と野菜生産つなぐ

     富士山を望む静岡県御殿場市に「ステップ・ワン」がある。障害者就労施設(B型)で、組織形態は社会福祉法人だ。就労している障害者は計52人。内訳は知的障害者44人、視覚障害者を含む身体障害者7人など。重複障害者も7人いる。  根上豊子理事長は働きたくても場所のない障害者に、働く喜びや幸せを提供するため、さまざまな事業を行っている。縫製加工、木工、食品加工、喫茶店運営、草取りサービス、さらには野菜生産などだ。  今回はいま最も注力し、市場の評価も高い野菜生産を紹介する。「ゆめ農」という農業ビジネスだ。根上理事長は農業ビジネスに進出した理由を「もっと給料を上げたかったから。さまざまな事業をやってきたが、農業が障害者に一番合っていると思ったから」という。

  • 第26回  企業のミッションは何か

     社員数30人ほどの省エネ空調設備の設計施工、保守・点検まで一貫して請け負うK社の社長に経営の話を聞く機会があった。社長へのアドバイスを通して、企業の使命(ミッション)という観点から、経営の要点を考えてみたい。同社の顧客には食品製造業も多く、空調が故障すると生産が止まる。故障の連絡が入ると現場へ駆け付けて状況を把握、応急処置を施し、その後本格的に修理する。社是は「環境創造企業として持続可能な社会の実現を目指す」、行動指針は「すぐやる、今やる、私がやる」であり、大手では難しい対応で他社との差別化を図っている。

  • 第25回  全社禁煙、トップが率先垂範

     厚生労働省が毎年、国民栄養健康調査で成人喫煙率の調査を行っている。2013年の統計によると、現在習慣的に喫煙している成人の割合は19.3%。性別では男性32.2%に対し、女性8.2%。この10年間、男女とも喫煙率は減少傾向にある。こうした流れもあってか、全社禁煙、喫煙者の不採用という方針を打ち出す会社が増えているように思われる。先日、訪問した神奈川県にあるシステム会社も、全社禁煙を進めた一社だ。ただ、同社が禁煙を開始したのは01年で、それ以前もオフィス内では、健康被害・火災防止などのため禁煙とし、喫煙場所は社外に設けていた。そこからさらに全社禁煙に進んだきっかけは、社内の非喫煙者からの声であった。

  • 第24回  障害者を適材適所に配置

    山口県周南市に「カン喜」という社名の中小企業がある。設立は1982年、現在の主な事業は冷凍食品の製造販売で、代表的商品は「かきフライ」や「殻つきかきグラタン」で後者の生産販売量は全国一だ。ちなみに、同社のかきグラタンの器は、かきフライに使った貝の殻を洗浄して活用するので、まさに一石二鳥である。

  • 第23回  提案型ホスピタリティー業

     独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得している中小企業を紹介している。10回目の今回は、住宅という人生最大の買い物で最高の感動を演出する、都田建設(浜松市北区)の蓬台浩明社長が創った“池クジラぶり”を見ていきたい。  同社は社員約60人を抱える木造注文住宅建設会社であり、年間100棟を超える新築住宅を施工する。2014年2月期は年商28億6000万円で、14期連続の増収増益を達成。売上高経常利益率はおおむね8~9%。ほぼ、無借金経営を実現している。

  • 第22回  「偉大な教師」に上司を育成

    この4月に採用された新入社員は会社になじんだだろうか。採用した人材をいち早く戦力化する教育システムを持つ企業や、優秀な人材が流出しない社風を持つ企業が存続可能で、今後成長するといっても過言ではない。社員がやる気を持続し、意欲的に働くか否かは配属先の上司によるところが大きい。新人育成のヒントを提案したい。  1つ目は教育分野の「ピグマリオン効果」。1964年に米国の教育心理学者、ロバート・ローゼンタールが提唱した期待と成果に関する効果のこと。実験を通し「人間は常に相手の期待に対して最も敏感に反応する」と主張した。優秀でも何でもない小学生の名簿を教師に渡し「テスト結果から、名簿の生徒たちは数カ月間に成績が向上する可能性が高い」と説明した。計測の結果、名簿上の「偽の成績向上見込み者」が他の生徒と比較して明らかに成績が向上した。期待をかけた教師側が気付かないうちに辛抱強く教えたり、ヒントを与えたりしたことなどが大きいとされる。

  • 第21回  社員に思いを伝え対話

    「卵が先か鶏が先か」-。卵がなければ鶏は生まれないし、鶏がいなければ卵は生まれない。だから最初はどちらだったのか、というように見方によりどちらが原因ともいえるため、因果関係の結論を出せないことを示す例えに用いられる。先日訪問した化粧品の製造販売を行う都内の会社の社長からも、社員に主体性・当事者意識をいかに持たせるかということで、こんな話を聞いた。

  • 第20回  非価格競争力を強みに

    先日、大学院生らと中国・浙江省の企業調査をしてきた。その中の一社に、「浪紗(ランサ)メリヤス有限公司」というメーカーがあった。場所は、杭州国際空港から東に車で1時間半ほど走った世界最大の軽工業品流通基地がある義烏市の郊外にあった。

  • 第19回  顧客視点のメディカルアート

     独自の「池」(市場)を見つけ出し、その池の「クジラ」(圧倒的なシェア・ナンバーワン企業)となった結果、高収益を獲得している中小企業を紹介している。9回目の今回は、島根県大田市内にあり人口約500人と過疎化が進む大森町地区にあって、堅実にオンリーワンビジネスを続ける義肢装具メーカー、中村ブレイスの池クジラぶりを見ていきたい。同社は1974年、中村俊郎社長が創業した。

  • 第18回  「大切にしたい会社」表彰

     「日本でいちばん大切にしたい会社大賞授賞式」が、3月20日に開催された。「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」は企業が本当に大切にすべき、(1)従業員とその家族(2)外注先・仕入れ先(3)現在顧客・未来顧客(4)地域住民・地域社会(5)株主・関係機関-という5人の人たちに対する使命と責任を果たし、人を大切にする経営に取り組んでいる企業や団体の中から、特に優良な事例を表彰し、他の模範とすることを目的としている。この連載コラムの執筆者でもある坂本光司教授の2008年に出版された著書『日本でいちばん大切にしたい会社』がきっかけで11年に創設されたこの賞も、第5回を迎えた。

  • 第17回  守成は創業よりも難し

     顧問先の引抜鋼管メーカー、旭鋼管工業(埼玉県草加市)の創立50周年記念の会に参加した。現社長は創業者の父親の苦難とは別の、多くの課題を乗り越えてきた。  先代は「パイプの引き抜き加工・問屋をやりたい」と大手製造業を50年前に退職し、創業した。会の席上、社長は「信用がないため仕入れ先からは製品を卸してもらえず、販売先の倒産で代金が回収できなかった。家に差し押さえの赤紙が貼られたこともあった」と当時を振り返ったが、先代は苦難を乗り越え事業を拡大した。

  • 第16回  お多福グループ社風に学ぶ

     先頃、社会人大学院生ら約30人と一緒に「オタフクホールディングス」(広島市西区)という中堅企業を訪問した。傘下の「オタフクソース」は「お好みフーズ」「お多福醸造」「ユニオンソース」などからなる「お多福グループ」の中核的企業で、お好みソース、焼きそばソース、たこ焼きソースなど、さまざまなソースやたれの製造販売をする全国有数の企業である。

  • 第15回  元顧客が作る池の覇者に

    自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得している中小企業を紹介している。8社目となる今回は、生活の木(東京都渋谷区)の“池クジラ”ぶりを見ていきたい。

  • 第14回  チームプレーで目標達成

    昔からスポーツは、会社経営と似ている部分が数多くあるといわれる。(1)個人の力を集結し、いかにチームとして結果を出すか、(2)ずば抜けた能力を持つ個人がどんなに好成績を残しても、チームプレーができなければ勝てない、(3)勝てるものは何かを考え、徹底的に磨き上げる、(4)チームの勝利のために、果たすべき役割を考え、個人が育つ-などだ。

  • 第13回  人口減少時代での企業展望

    所属する経済団体のセミナーで2人のマクロ経済学者から日本経済の長期的展望を聞いた。テーマは「人口減少社会を考える」と「人口オーナス下の経済・地域」。それによると人口減少の要因は20~39歳の女性の減少と地方から大都市圏、特に東京圏への若者流出の2点。2040年には896市区町村が「消滅可能性都市」に該当し、うち523市町村で人口が1万人未満となって消滅の可能性はさらに高まる。このため少子化と東京一極集中の対策を同時に行う必要がある-という。

  • 第12回  歩合制を廃止した住宅会社

    営業マンの歩合制が常識になっている業界で、それを廃止したハウスメーカーが「びわこホーム」(滋賀県甲賀市)だ。しかも、歩合制廃止前までブレまくっていた業績が、廃止後は高く安定した。

  • 第11回  コスト増覚悟し未来に投資

    中小企業は、独自の「池(市場)」を見つけ出し、自らがその池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン企業)」になることによって高収益を生み出せるという考え方について、昨年から実例を紹介している。今回は「いい会社をつくりましょう」を社是として、末広がりの安定成長を実現してきた「年輪経営」を標榜(ひょうぼう)する寒天メーカー、伊那食品工業(長野県伊那市)の“池”と“クジラ”を見ていきたい。

  • 第10回  新卒採用は子育てと同じ

     企業の人材採用は大きく新卒採用と中途採用の2つに分けることができる。  新卒採用は年齢・学歴などの面でほぼ同質な人材を、同時期にまとめて採用できるため、1人当たりの採用・教育にかかるコストの低減が図れる。また、長期雇用を前提としているため、新卒社員が入ってくることで年代別の構成を維持しつつ組織全体が毎年、新陳代謝を繰り返し、企業・労働者双方によって、企業文化・組織風土などを長期的な展望に基づいて継承していくことが可能となるなどのメリットがある。

  • 第9回  潜在ニーズ探り解決策提案

    東京商工会議所が10年前に始めた「勇気ある経営大賞」の第1回受賞企業を一冊の本「変える勇気が会社を強くする」(中経出版)にまとめた際に取り上げた、ダイワハイテックス(東京都板橋区)の大石孝一社長と先月、6年ぶりに面談した。同社は1978年、大石社長が28歳のときに脱サラして夫婦で起業。「どこもやっていない包装機械を販売したい」と創業2年目にニーズを探る意味で包装機械展に出展。その場で「コミック本を簡単に包装できる機械が欲しい」という書店オーナーの一言から、コミック本包装機「コミックシュリンカー」を完成させた。

  • 第8回  社員第一主義で成長持続

     前橋市にの収集運搬を業とする中小企業のA社がある。正直この業界は、仕事が大変な割には業績が伴わず、結果として社員の給料は低く、万年人手不足といった状況が一般的となっている。しかしながら、A社の実態を見ると業界の平均的な企業とは全く異なり、業績が右肩上がりどころか、近年の利益率は業界平均の1~2%をはるかに上回る10%以上だ。こうした好業績もあって、社員の平均給与は年収ベースで、業界平均の2倍に相当する823万円と並外れた高賃金企業を実現している。

  • 第7回  既存顧客を新たな「池」に

    中小企業は独自の「池(市場)」を見つけ出し、自らがその「池のクジラ」になることで高収益を生み出せるという考え方を、昨年9月から紹介している。今回は家電業界で大手量販店が熾烈(しれつ)な安売り競争をする中、「高く売っても、お客さまが喜んでお金を払ってくれる」という業界では非常識なやり方で成功した、「でんかのヤマグチ」(東京都町田市)の池クジラを見ていきたい。

  • 第6回  マーケットインの発想意識

     企業経営の目的については、さまざまな議論がある。この連載の執筆者でもある法政大学大学院の坂本光司教授は「5人に対する使命と責任を果たすための活動」と定義する。一方、マネジメントの父と称される経営学者のピーター・F・ドラッカーは「顧客を創造することである」と定義している。

  • 第5回  社長は経営理念の伝道師に

    昨年12月、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のビジョンケアカンパニー元社長に「経営理念に基づく価値経営」の話を聞く機会があった。1982年、米J&Jの解熱鎮痛剤「タイレノール」に毒物が混入され、シカゴ地域で死者が出た「タイレノール事件」。経営陣は「J&J製品を使うすべての人々に責任を負う」という経営理念を判断基準として事件を解決した。J&Jは多大なコストをかけて、シカゴ地域だけでなく全米からタイレノールを完全に回収、消費者から大きな信頼を得た。

  • 第4回  頑張る自動車教習所

    全国には約1400カ所もの自動車教習所がある。かつては入学者が年間250万人を超えたときもあったが、今やその数は150万人前後に減少している。その結果、近年では毎年全国各地で数校が廃校しているばかりか、弱肉強食的な合併も加速している。

  • 第3回  非常識が「池のクジラ」生む

    中小企業は「独自の『池』(市場)を見つけ出し、自らがその『池のクジラ』となることで高収益を生み出せる」という考え方について具体的な事例を紹介している。今回は昨年12月24日付で女性活用について取り上げた、地域密着型ファミリーレストラン経営の坂東太郎(茨城県古河市)を“池のクジラ”の視点から分析したい。

  • 第2回  障害者雇用への“気づき”

    改正障害者雇用促進法が2013年4月1日に施行され、障害者の法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられた。対象となる企業の従業員規模が、56人以上から50人以上に引き下げられたのは、広く周知のことと思う。

  • 第1回  全員参画型で事業に成功

    水着などの製造販売を手がけるフットマーク(東京都墨田区)の磯部成文会長と5年ぶりに面談した。同社を知ったきっかけは、東京商工会議所が10年前に始めた「勇気のある経営大賞」第1回受賞企業で、著書の「変える勇気が会社を強くする」(中経出版刊)に取り上げたことだ。

プロフィール

アタックスグループ

顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。


Webサイト:アタックスグループ

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