第8回
銀行が絶対納得する。経営改善計画のキモ。
■2つの経営改善計画のちがい
本コラム、最後のテーマは「経営改善計画」の作成です。
これまで「経営改善計画」とは、業績の悪化している企業に対して金融機関が作成を求めるというかたちで作られることが多かったのですが、最近では通常の企業でもこれを求められることが多くなってきています。
「経営改善計画」といえば、
「よく、コンサルが一生懸命にすすめるけど、あまり実効性のないもの」
「長続きしないもの」
「絵に描いた餅のようなもの」
などというイメージをもたれる方も多いと思います。
確かに自社内で行う経営改善計画などは、よほど、しっかりした熱意と体制をもって取り組まなければこうなることがありがちです。
しかし、今回取り上げる経営改善計画はあくまでも自社の「自社の銀行格付けを落とさないため」、または「銀行格付けをあげるため」に作成するものである点で、通常の経営改善計画とは異なります。
それでは、一般的な経営改善計画と金融機関向けの経営改善計画とではどのように違うのでしょう。
これらは、以下の点で違いがあります。
<一般的な経営改善計画>
・ 主に自分の会社の管理や成長目標のために作られる。
・ 売上げ○%UPや人件費の○%などの目標だけが掲げられ、
そこにいくつくまでの具体策や段取りがない場合が多い。
・ 継続的に管理する人間が社長しかいない。
・ 効果が景気などによるものなのか、計画によるものなのかの実証ができにくい。
<金融機関向け経営改善計画>
・ 銀行格付けの低下の防止または、向上のために作成される。
・ 金融検査マニュアルの内容にもとづいて作成されるため、指標が明確である。
・ 進捗、管理について金融機関の目が行き届いている。
・ 目標が達成できた場合には、格付けUPなどの形で成果が明確にあらわれる。
以上のように経営改善計画は、以上の2つに大きくわけられますが、ここでは後者についてご説明していきます。
■金融機関向け経営改善計画の特徴
では、そもそもなぜ、金融機関は企業に経営改善計画の作成を求めてくるのでしょうか?
それは何をおいても金融機関が「その企業を危険な状況にある」と認識しているためです。
この危険な状況とは、一般的には、その企業の格付けなどがこれ以上下がってしまうと融資ができなくなってしまう一歩手前の状況を指します。
そのため、金融機関としては、その企業に対して事前に警告を与えるとともに、今後の経営を把握してこれを向上させたいという思いがその中には含まれています。
にもかかわらず、一部企業の中には、その重要性に気がつかずにこの要請を無意味に引き伸ばしたり、安易な対策で済まそうとするところも少なくありませんが、これはある意味、自分で自分の首を締めているようなものです。
金融機関からの経営改善計画の作成要求は、その企業を救済するためのラストチャンスであるとともに、最後通牒的な意味合いの強いものですので、これがあった場合には、真摯に取り組んでください。
■経営改善計画作成のメリット
金融機関向けの経営改善計画を作るメリットとしては、「金融機関がその会社をどうとらえているかがわかる」ということがあります。
通常、このような計画の作成では、まずは、たたき台となるものを作り、そのうえでこれを金融機関に評価してもらい、内容的に問題があれば両者が納得できる範囲で修正するという作業が行われます。
そのため、この計画の作成を通じて、金融機関が自社をどう見ているかがわかるとともに、その内容についても金融マンといういわば、プロの目によるブラッシュアップを受けることができるという大きなメリットがあります。
また、同時に計画作成のやり取りの中で、債務者区分などについての情報も知ることも可能でしょう。
さらに他のメリットとして、計画を作ることにより「金融機関の評価が高くなる」可能性があるということがあげられます。
自ら進んで経営改善計画を提出するということは、金融機関の側から見れば意識の高い会社であると評価できるとともに、今後の経営方針が把握できるためその会社を応援しやすくなります。
また、計画が認められ、金融機関の支援を受けられるような場合には、「債務者区分の引き下げを免れることができる」という金融検査マニュアルにもとづく特例措置を受けられるので、そのような会社については即効かつ具体的なメリットを享受できることとなります。
しかし、計画を作るにあたっては、どのような目標や取り組みであってもよいか、といえばそうではありません。
そもそもこの「経営改善計画」とは、金融機関に対して自社の考えと方針を示し、これに協力してもらうために提出するものなのですから、その中身については
・ 負債の計画的な圧縮
・ 売上げの改善、資本金の増加
・ その他の経費削減
など金融機関の理解を得られるような内容を織り込んだものであることが必要とです。
しかし、その内容は中小企業側に「痛み」を伴うものであることも多いため、自分一人で計画を作成する場合にはどうしても甘い内容となりやすくなってしまいがちなものです。
なので、計画を作るときは自分の思い込みだけで進めたり、やみくもに行うのではなく、まずは金融機関や専門家によるアドバイスを受けてから行うことをお勧めします。
■債務超過や赤字でも融資を引き出す方法
以上8回にわたって金融機関との付き合い方や、融資の攻略法についてご説明してきましたが、実際の融資対策は各企業の状況ごとに異なり、「これなら大丈夫」という絶対的な成功法はありません。
しかし、今回ご説明した経営改善に取り組むという姿勢や考え方は、これを通常の融資申し込みに取り入れることにより、「ほぼ無理だろう」と思われるようなケースであってもスンナリ出てしまうこともよくあります。
例えば最近の事例では、経営改善に関するテクニックを使うことにより
・「大幅赤字、債務超過、過小資本金」という状況の中で
日本政策金融公庫420万円(満額) 信用保証協会200万円
の調達に成功したケース
・「利益はほぼトントン、借入れ後1年しか経過していないため、
大幅な負債あり」という状況の中で
信用保証協会300万円(満額)
の調達に成功したケース
など、普通は難しいような状況の方であってもかなりの額の調達に成功しています。
これらはいずれも、金融機関が納得できるような内容を融資の事業計画書に書いたからできたことなのですが、その中身のキモとなるのはやはり、この経営改善をどのように行うか?という視点です。
このように、経営改善は金融機関に求められてから行うものというだけでなく、通常の融資の場合にも十分に役立つということを覚えておいてください。
なお、当事務所のサイト「119番資金調達.net http://www.shikin.net/」に
もこの点に関するヒントを掲載してありますので、ご参照いただければと思います。
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プロフィール

Ichigo (一期) 行政書士事務所
引地 修一(ヒキチシュウイチ)
当事務所サイト「119番資金調達.net」がキーワード「資金調達」でグーグル、ヤフーともに3位に掲載中。2011.7現在 6連続で政府系金融機関より希望額100%の融資調達に成功中。
【 保有資格 】
行政書士行政書士(登録番号 №04080760)
宅地建物取引主任 事業再生補 事業再生アドバイザー
【 専門分野 】
<創業者向け>
創業融資獲得支援、融資対策会社設立手続き、ビジネスプラン作成、融資向け事業計
画作成
<一般事業者向け>
銀行対策支援、銀行融資格付け改善、経営改善計画作成、リスケジュール支援、少人
数私募債発行に関する各種サポート他
【 出版関連 】
2008.12 「確実に公的創業融資を引き出す本」(TAC出版)を出版 ※現在 第3版販売中
2007.08 月刊近代中小企業「金融機関との正しい付合い方」
2007.10~2008.02 連載「次の決算までに売上げと融資を確実にする方法」
2008.12 月刊ターンアランドマネージャーに「多様化する資金調達のポイント」 をそれぞれ寄稿。
2011.8 「次の決算に間に合う。銀行格付けアップ術」(TAC出版)を刊行。



























