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門脇 純

第13回

数値データを話題にする

 

 あなたも、テレビ番組や新聞・雑誌・Webの記事のタイトルやサブタイトルに、数値が使われているものをご覧になったことがあるはずです。数値はニュースの意味を端的に具体的に示すため、人の関心を引き付ける効果があります。そのため、記事だけでなく、プレスリリースのタイトルやサブタイトルにも、意図的に数値が使われることがあります。そこで今回は、その数値に着目します。メディアが関心を持つ情報の7つ目として、今回は「数値データを話題にする」方法について解説します。

 今回ご紹介する「数値データ」の対象は、主に社内で測定する企業の業績、製品、施設、従業員、組織などのデータとします。なお、アンケート調査のデータも数値データではありますが、アンケート調査に関しては前回(第12回)解説しましたので、今回の対象から除きます。

1.数値データから話題を作る方法

 まずは、数値データに着目することで、話題を作る方法をご紹介します。「今はプレスリリースを発信するような話題がない」という場合にも、次にご紹介することを参考にしていただければ、話題を作れるかもしれません。

 

・区切りのいい数値、急激に上昇した数値を発表する

 通常、商品やサービス、施設については、販売開始やサービス開始、開所時にプレスリリースをしたら、通常は新たな話題が生まれるまでは、プレスリリースをする機会がありません。ここで、数値データによって新たな話題が生まれることがあります。例えば売上高、顧客数、ユーザー数、来場者数などが、1万、100万など区切りのよい数値に達した、前年の販売実績と比べて急激な上昇がみられた、という場合に、そのことをニュースとしてプレスリリースを発信するチャンスがあります。

 これらの数値はどの会社でも測定しているものです。それを測定している担当者と連携をとり、区切りのよい数字に到達しそうな場合や、急激な上昇が起きている、という際に速やかにプレスリリースを配信できる体制を整えておくことが大事です。

 実際に次のようなプレスリリースが企業から発信されました。

 (例) ・サービスのユーザーが100万人を突破

             ・特別展の入場者数が20万人を突破

               ・商品の出荷前年比328%を達成

 

・人事労務の数値を発表する

 人事労務の話題は、どの会社でもプレスリリースを発信できうるテーマの1つです。特に昨今は、残業時間削減や、女性が活躍できる職場が社会的に求められており、メディアもそれらに先進的に取り組む会社の情報を求めています。今後、メディアは女性の活躍だけでなく、働き方の多様化やダイバーシティに取り組む企業を注目すると予想されます。そのため、女性の活躍に関するデータのほか、男性の育児休暇取得率や、障害者雇用、シニア雇用などに関するデータが注目されることでしょう。このような人事労務の先進的な取り組みに関する数値データをプレスリリースで発信すると、メディアにとりあげられる可能性が高いと考えられます。

 実際に次のようなプレスリリースが企業から発信されました。

 (例) ・女性管理職割合が48%に上昇

     ・フリータイム制度の導入により残業時間が15%削減

               ・有給休暇取得率70%を達成

 

2.性能・機能を数値データで効果的に表現する方法

 次に、新しい製品・サービス、設備、事業所などについてプレスリリースで発信する際に、それらの性能・機能を数値データによって効果的に表現する方法を解説します。

 

・従来品との比較数値で示す方法

 新しい製品や設備などについて、その性能(スペック)を数値で表現しようとしても、メディアの記者や読者・視聴者には、その数値の意味が感覚的に理解できないことがあります。そのような場合に、従来品や従来設備との対比を数値化することで、その性能の意味を感覚的に分かりやすく伝えることができます。

 実際に次のようなプレスリリースが企業から発信されました。

 (例) ・積載量が従来比3.5倍の産業用ドローンを開発

               ・ランニングコストを従来機に比べ15%削減した商品を発売

               ・従来比30万円安い家庭用燃料電池を発売

 

・資源消費の削減量を数値にして示す方法

 新しい製品や設備などの性能や機能を、電力、CO2(消費量・排出量)、原料、水、労働力、時間など資源消費の削減量を数値化することで説明する方法があります。資源消費の観点から捉えることで社会的な意義(環境保全、省エネ、地球温暖化対策、生産性向上など)が加わり、メディアにとりあげられる可能性が高くなります。

 実際に次のようなプレスリリースが企業から発信されました。

 (例) ・従来機種より消費電力を25%削減した商品を発売

     ・工場で生産工程の水使用量58%削減

               ・製造ラインの性能関連データ分析で1年間に生産性を30%向上

 

3.数値データを用いる際の注意点

 最後に、数値データを用いる際の注意点を解説します。

 

・なるべくシンプルに説明できる数値、インパクトを感じられる数値を使う

 新製品の性能を従来品と比較すると言っても、どの製品とどの製品の、どのような性能を、どのような環境条件で比較するか、どの期間とどの期間を比較するか、など複数の測定方法があり得ます。その中で、目的に適う、適切な数値データの比較であるなら、なるべくシンプルに説明できる数値であり、なるべくインパクトを感じられる数値を使うことが、PR効果を高めるうえで望ましいです。

 なお、一見、数値上は大きな数字でインパクトがあるように感じられる数値であっても、どのように計測・比較したかの説明が難しいなら、結局メディアの記者や読者・視聴者にとっては分かりにくくなります。結果、期待通りのインパクトが生まれない、ということになりかねません。シンプルであることは優先されるべき要素です。

 

・根拠は明確にする、不正はしない

 先に「なるべくインパクトが感じられる数値を使う」と説明しましたが、そのこと自体を目的化しては、本末転倒です。測定の条件を不公正に変えて意図的な測定データを得ることや、データを改ざんすることはNGです。そのような行為は不正であり、消費者を欺く行為です。昨今、大企業にデータの取り扱いの不正が相次いで明るみになりました。不正はやろうと思えば簡単にできてしまいますが、それが社会に与える悪影響は大きく、不正が明るみになると、企業は取り返しのつかないほどのダメージを蒙ります。数値データの取り扱いは、あくまでも科学的に、客観的に、公平に行う必要があります。

 どのような方法で測定した、という詳細な記録は、プレスリリースには記載しきれないかもしれませんが、Webサイトに参考情報として掲載したり、記者から要求があれば開示したりして、透明性を確保できるようにしましょう。

 

・グラフで視覚に訴える

 プレスリリースに数値で示すだけでなく、比較を表す数値なら棒グラフや円グラフ、推移を表す数値なら棒グラフや折れ線グラフを作成して掲載することが効果的です。メディアには文字や数字だけでは興味を持ってもらいにくいことも、グラフがあれば一目で理解してもらうことができ、とりあげてもらえる可能性が高くなります。


 あなたも上記のことを参考にして、数値データを話題にするプレスリリース発信を行ってみてはいかがでしょうか。

2017年1月11日

 
 

プロフィール

株式会社インフォデザイン
門脇 純


1975年 島根県松江市生まれ。
1998年 名古屋大学法学部卒業。
1998年-2005年 インテージ。システム開発、行政・環境コンサルティング、経営 企画、リサーチ運営に携わる。
2006年-2012年 コミュニケーションデザイン。PRコンサルタントとして様々な業 種の企業・団体のPRを手掛ける。
2008年-2012年 SVP東京パートナー。
2013年3月 名古屋市の医療系NPO法人と財団法人を兼務。
2015年4月 インフォデザイン設立、代表取締役に就任。

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