共感されるブランドをつくるPR

第12回

アンケート調査の結果を紹介する

門脇 純 2016年12月1日
 

 メディアが関心を持つ情報の6つ目として、今回は「アンケート調査の結果を紹介する」という情報発信の仕方について解説します。

 あなたも、テレビ番組や新聞・雑誌・Webの記事が、アンケート調査(意識調査)の結果を話題にしているケースを目にされたことがあるのではないでしょうか。アンケート調査は、データという形で話題をつくることができる、有力なPR方法です。もし、現在あなたの会社がメディア露出するための話題がないという場合でも、アンケート調査によって話題を作ることができます。

 例として、企業が行った次のようなアンケート調査結果がメディアにとりあげられています。

 (例)

  ・認知症の診断と治療に関するアンケート調査(製薬企業)

  ・子どもの結婚式に関する親世代のアンケート調査(ウエディング企業)

  ・夫の家事貢献に関する意識調査(浴室洗浄器販売会社)

  ・看護師の研修に関するアンケート調査(eラーニング会社)

  ・住みたい街に関する意識調査(住宅情報会社)

  ・駐車場に関する意識調査(駐車場関連サービス会社)

          


 各社がそれぞれのアンケート調査を行った理由は、およそ次のようなものであると想定されます。

 ・ある問題を啓発し、その解決策として自社の商品・サービスを知らせたい

 ・話題を提供したテーマに精通しているというブランドを形成したい

 ・話題を提供したテーマに関心がある人に、自社に接点を持つきっかけにしてほしい

 

 このようなアンケート調査は、大手企業しかできないような特別なものではありません。インターネット調査の普及により、多少の調査コストさえかければ、どの企業でもアンケート調査を行うことができるようになりました。あなたの会社でも、事業に関連したテーマのアンケート調査を行い、その結果をメディアに情報提供することで、メディアにとりあげられる可能性があります。さらに、調査結果について、あなたの会社(社長など)のコメントが紹介されれば、「このテーマについて専門性を持っている」という認知を得ることになります。

 

 今回は、メディアにとりあげられるためのアンケート調査のポイントを解説します。なお、このように、メディア露出(パブリシティ効果)を狙って調査をすることを、PR用語としては「パブリシティ調査」と言います。

       


<パブリシティ調査の手順・ポイント>

1.メディアにとりあげてもらうための調査設計

 パブリシティ調査においては、調査結果をメディアにとりあげてもらわなければ意味がありません。そのためには、ユニークな切り口の話題を提供できる調査結果を得ることが必要です。従って、予め、ユニークな切り口の話題が提供できる調査結果を得ることを見込んで、サンプルを選び、設問を作成することが大事です。なお、「ユニークな切り口の話題が提供できる調査結果を得ることを見込んで」と言いましたが、それは回答者にバイアスをかけて不自然に誘導することではありません。それは調査の不正に等しいことです。あくまでも適切な方法で調査を行った上で、切り口がユニークになるような設問を盛り込むのです。

 そのため、実際に調査をしてみると、設問によっては期待通りの結果が得られない場合もあります。そこで、ユニークな切り口の話題になりそうな設問を、複数盛り込んでおくことがポイントです。なお、男女間の関係、家族の関係、上司と部下の関係に関する調査結果は、比較的メディアの話題になりやすい定番ネタと言えます。

 

2.サンプル選定は母集団の代表性が重要

 パブリシティ調査においては、解答してもらう人(回答サンプル)の選択が重要です。あなたの会社の顧客にアンケート調査をしたとしても、メディアがその結果を使えるとは限りません。通常、メディアが取り上げたい調査結果は、あなたの顧客の意識調査はなく、一般の人々を対象にした意識調査なのです。理想を言えば、母集団の代表性を確保するため、無作為に抽出されたサンプルがよいのですが、実際には、マーケティングリサーチ協会に加盟しているマーケティングリサーチ会社の調査モニターであれば、おおよその代表性を確保しているとみなされます。

 調査モニターのうち、性別、年代、地域、職業、その他の条件を指定して、サンプルをセグメントします。調査のテーマが、若者向けか、シニア向けか、また全国向けか、特定の地域を対象にしたものか、何かの保有者(スマホ、自動車など)かどうか、などによって、適切なサンプルを選びます。

 一般にアンケート調査では、サンプル数(回答者数)が少なすぎると、統計的な信頼性が不足します。サンプル数が多ければ多いほど、統計的な信頼性が増しますが、サンプル数を多くすると、それだけ費用がかかります。

 それでは、適切なサンプル数はどの程度が妥当なのでしょうか。調査の内容により求められる水準が異なりますが、一般的なアンケート調査では、300~2000程度のサンプル数が妥当な範囲と考えます。

 

3.質問項目を作る

 アンケートの質問項目を作る方法はここでは書き切れませんが、一定のノウハウが必要です。アンケート調査の実施経験がない方は、経験者に依頼するか、アドバイスを求めることをお勧めします。

 なお、インターネットで検索すると、過去に行われたアンケート調査の結果を見つけることができます。あなたの会社の事業に関係する調査や、異なる業界であっても設問が参考になるアンケート調査も見つかります。これらを参考にしていただければと思います。

 先に「1.メディアにとりあげてもらうための調査設計」で述べたような、「ユニークな切り口の話題が提供できる調査結果を得ることを見込んで」調査項目を作ります。その際、テーマの中心的な設問だけでなく、その結果をどのような項目でクロス集計したら、ユニークな結果として見せることができるか、ということを考慮して、クロス集計用の設問も用意します。

 

4.データの不正はもってほのか

 過去にいくつかの業界でデータの不正や改ざんが話題になりました。アンケート調査であなたの会社にとって有利なデータを得たいからと言って、意図的にデータを改ざんしたり、意図的にある結果を導くようバイアスをかけるような不正行為はもってのほかです。アンケート調査で数字を書き換えることは簡単にできます。しかしながら、調査に詳しい人が見たり、調べたりすれば、不自然なことは分かってしまうのではないでしょうか。不正によって一時的に社会を欺くことができたとしても、やがて不正が明るみになった際には立ち直れないほどの制裁を受けます。

 あくまでも正当な手段で入手したデータをもとに、いかに注目される情報発信を行うかが、広報・PRに携わるプロとしての腕の見せ所です。

 

5.調査費用はどの程度か

 調査会社に300サンプル~1000サンプルで、設問は20問前後の設問数で依頼すると、調査票作成や集計・分析をご自身で行った場合でも、10~40万円程度の費用がかかります。また、サンプルの選び方によって、例えば「○○を利用している人」を対象者として絞り込む場合は、モニターを絞り込むためのスクリーニング調査も追加するため、さらに数万円の費用がかかります。

 なお、調査会社によっては、予め「スマホを利用している人」というデータ(パネル)をモニターの基本属性として保有しており、スクリーニング調査を行う必要がない場合もあります。このようなことは表面的な料金表だけでは分からないことがありますので、調査会社に尋ねるとよいでしょう。

 数十万円の調査費用について、広報部の予算ではまかないきれない会社もあるかもしれません。パブリシティ調査は、第一目的はメディア露出を狙って行うものですが、同じアンケート調査の中で、顧客理解のための調査を行うこともできます。またその結果は営業目的で使うこともできます。そのため、アンケート調査は広報部門だけでなく、営業部門などとの共同、あるいは全社的位置づけで行っていただくことをお勧めします。


 アンケート調査は、多少の費用とノウハウが必要ですが、ゼロからメディアにとりあげられうる話題を提供できる有効なPR手法です。メディア露出の観点からは、結果として費用体効果の高いPR手法と言えます。あなたの会社でもパブリシティ調査を検討されてはいかがでしょうか。

 
 

プロフィール

株式会社インフォデザイン
門脇 純


1975年 島根県松江市生まれ。
1998年 名古屋大学法学部卒業。
1998年-2005年 インテージ。システム開発、行政・環境コンサルティング、経営 企画、リサーチ運営に携わる。
2006年-2012年 コミュニケーションデザイン。PRコンサルタントとして様々な業 種の企業・団体のPRを手掛ける。
2008年-2012年 SVP東京パートナー。
2013年3月 名古屋市の医療系NPO法人と財団法人を兼務。
2015年4月 インフォデザイン設立、代表取締役に就任。

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