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交際術につながるクラシック音楽雑学 <楽器編>?音楽を“音学”して、あなただけのコミュニケーションツールに!?

第4回

7人兄弟「仲良しサックス」は、フランス発の特許品

 

■ これまでの流れ

 鍵盤楽器のピアノからスタートし、弦楽器のヴァイオリン、金管楽器のトランペットと、種別ごとに楽器の雑学をお伝えしてきました。

今回は、金属製でありながら木管楽器に分類される「7人兄弟のサックス」を取り上げ、それぞれの特徴と、まだ歴史の浅い楽器ながら、幅広い音楽ジャンルで活躍する理由について、雑学と共にお伝えしていきます。

■ 7人兄弟のサックスは、金属製でも木管楽器!?

 金属で出来たサックスは、多くの人に「金管楽器」と思われがちですが、実際は金属製の「木管楽器」です。

前回のコラムでも少しお伝えしましたが、木管と金管の区別については下記の通りです。

① 金管楽器は、演奏者自身の「唇」を振るわせ、その「唇の振動」を
 楽器に伝えて音を出します。
(例:トランペット、チューバ、トロンボーン、ホルン、チューバ等)

② 木管楽器は、「リード」という薄片を口にくわえ、そのリードを振動させて
 発音するか、エアーリードと言って、息による空気の流れを楽器の吹き口の角に
 あたって発音します。
(例:サックス、クラリネット、オーボエ、フルート等)

つまり、金管楽器は金属製、木管楽器は木製という区別ではなく、音の発信源が、演奏者の「唇の振動」であるか、それ以外なのかで分けられるのです。

それでは、楽器の種類について、説明します。
サックスは前述の「リード」という薄片を口でくわえ、振動させて発音します。

以下、7人兄弟「仲良しサックス」の種類は下記の通りです。

① ソプラニーノ・サックス
サックスの中で最も音域の高い楽器。高音域の音程の調整が難しく素人には扱いにくい楽器です。

② ソプラノ・サックス
サックスのアンサンブルではトップパートとして主にメロディを担当。ポップス等ではアドリブソロで活躍するサックスです。

③ アルト・サックス
サックスの代表格です。音色の美しさ、安定感、聞き心地の良さ等、バランスの取れたサックスです。サックスを初めて習う方の殆どはこのアルトサックスから習得しています。

④ テナー・サックス
ジャズではアルトの次に親しまれ、よく使われるサックスです。深みのある肉声に近い響きが、豊かな音色となって演歌等のソロパートでも活躍します。

⑤ バリトン・サックス
通常編成のサックスのアンサンブルでは不可欠な存在で、最低音のパートで音楽を支えます。見た目と音量の割に、意外と速いテンポの細かい音列も演奏することが可能です。

⑥バス・サックス
普段、身近に見聞きすることが少なく演奏編成に合わせて登場するので、個人で所有されている方が多いです。

⑦ コントラバス・サックス
世界中で20本、日本国内には3本程しかない、滅多に見かけることのないサックスです。サックスのみならず、全ての管楽器の中で一番大きいとされ、全長193㎝~206㎝にもなります。有名人の身長に例えるならば、プロレスラーのジャイアント馬場さんの209㎝とほぼ同じ。演奏者よりも格段に大きい楽器、背の高い成人男性奏者以外は、演奏時に脚立が必要になる程の大きさです。

以上、それぞれに個性のある7人兄弟のサックスファミリーを簡単にご紹介しましたが、現在、演奏の場で人気があり、より活躍しているサックスは、この7種のうち、②ソプラノサックス ③アルトサックス ④テナーサックス ⑤バリトンサックスの4種類です。

■ サックスはフランスパリ発の特許品!

さて、この兄弟の象徴とされるサックスは、今から166年前の1846年にベルギーの楽器製作者、アドルフ・サックス氏により発明され、パリで特許を取得しました。サックスは、楽器の中では珍しく、個人によって発明されたものなのです。

アドルフは、管楽器の音色における、固すぎたり柔らかすぎたりする響きを克服したくて、「音色の特徴としては弦楽器に近い優美な柔らかい音色でありながら、弦楽器よりも力強く、より迫力のある管楽器を創る。」ことを考えたのです。

更に、金管楽器と木管楽器の音色を融合させる役目を果たせる楽器であることも、発案内容として考慮されていました。当時としては、色々熟慮しての、今までにない音色を奏でるための、斬新な楽器の発明だったと言えるでしょう。

さてこの特許品、サックス氏がベルギーからパリに移住して間もない頃に完成し、特許を取りました。

また、自らパリ音楽院のサクソフォン科の創設に尽力を注ぎ、後進の指導にも力を注ぎました。 よって、彼の生まれ故郷のベルギーと移住先のフランスの両国で、その功績が讃えられています。(下部、写真参照)

1846年に認可された特許品であるサックス、ピアノやヴァイオリン、その他の楽器に比べ、とても歴史の浅い楽器ですが、アメリカのジャズ界のアーティスト達により有名になり、急速に普及し、今ではジャズをはじめ、ポピュラー、クラシック、演歌にいたるまで、様々なジャンルで活躍しています。

また、サックスの人気の理由には次のような点も挙げられます。

① リコーダーと同じ指使いで吹きやすく、音色もまろやかで聞き心地がよく、なめらかなカーブのボディ(管)は、どことなくセクシーで大人の雰囲気を醸し出している。

② ボディに施された彫刻が、高級感を感じさせる。(右の写真)

③ 楽器の値段も、ヴァイオリン等と比べれば、さほど高くはない。
(10万円~100万円前後)

④ いろんなパート編成のサックスアンサンブル(合奏)が組める。

更に、日本でサックスが有名になった理由の一つとして、サックスが活躍する曲が以下のような、テレビコマーシャルやドラマ、アニメの主題歌に使われたことも見逃せません。

<例>
① Take Five → テレビコマーシャル「アリナミンV」で適用。
② 我が心のジョージア→ テレビコマーシャル「ジョージア」に適用。
③ ドラマ「太陽にほえろ」のテーマ曲。
④ アニメ「ルパン三世」や「名探偵コナン」のテーマ曲。。

では最後に、クラシック音楽の中でのサックスの位置づけについてお伝えします。先述の通り、サックスの歴史はクラシック音楽の中では、とても歴史の浅い楽器なので、オーケストラ編成においては、サックスの定位置の席はありません。サックスが登場する演奏曲目に応じ、席を設けて演奏(参加)するというポジションです。

これは、19世紀以前に作曲されたクラシック楽曲の中には、サックスという楽器の存在自体がなかったからです。
しかし、逆にそのことは、サックスが現代人に受け入れられやすい理由にもなっており、クラシックでも記憶に新しい、ガーシュイン作曲の「ラプソディ・イン・ブルー」やラヴェル作曲の「ボレロ」等では、重要なポジションを担っています。

そう思うと、サックスは未来に向けた進化を続ける音楽の中において、今後ますます頭角を表していく楽器の一つと言えるでしょう。

今回も最後までお読みいただき、有難うございます。次回のコラムでは、打楽器の影の大物、「マリンバ」にスポットをあて、興味深い雑学をお伝えします。お楽しみに!

 
 

プロフィール

株式会社 ブランディングメッセージ
代表取締役 宮川 則子


東京都新宿区生まれ。音大卒業後、商船会社の総務部に勤務。
退職後、音楽講師、音楽事務所経営を経て、2015年、箔押し印刷、彫刻加工販売の「BRANDING MESSAGE(ブランディング メッセージ)を立ち上げる。
2017年 企業・団体様のベルティ製作会社として法人化。


企業宣伝ツール、セルフイメージアップツールに有効な箔押し印刷、並びに彫刻加工をメインに、企業・店舗・団体のブランディング活動のサポート事業を行っている。
小ロット対応。デザイン提案から納品まで、親切丁寧に対応いたします。


<事業内容>
1.ブランディング事業
・箔押し印刷、彫刻加工、シルク印刷によるノベルティ製作、販売


2.ライフサポート事業
・音楽イベント、コンサート企画運営
・ビジネスセミナー企画運営
・ウェブ、デジタルブック制作


Webサイト:株式会社ブランディングメッセージ

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